じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

東大寺二月堂で

3月12日の深夜、奈良の東大寺では今年も「お水取り」が行われました。3月1日から14日間にわたって東大寺の二月堂で行われる「修二会(しゅにえ)」という法会のなかでもっとも大切な儀式です。

大きな籠松明(かごたいまつ)が11本上がったあと、練行衆による法要があり、そのなかにお水取りの儀式が組み込まれています。

この夜は、だれもが前の日に起きた大地震のことが頭から離れなかったにちがいありません。
法要で大導師が願いごとを述べる「風誦文(ふじゅもん)」のなかに、3月11日の東北関東の大地震について祈る言葉を聞き取ることができました。

東大寺の公式ホームページに載っている東大寺の管長からのメッセージをここに引用いたします。

初夜上堂松明参拝者の皆さんへ
本日はようこそお参りくださいました。私は東大寺別当)の北河原公敬でございます。
修二会(お水取り)行法は多くの困難もありましたが、1260年前より今年に至るまで、1回も途切れることなく、毎年国家安泰、世界平和、人々の幸福、風雨順時、五穀豊穣等を祈る行法として続けてまいりました。
ご承知のように3月11日未曾有の大災害が国を襲いました。本日ここにお参りにいらした皆様に、私より3つのお願いがございます。
私や東大寺と共に
1つは、被災され亡くなられた方々のご冥福をお祈りいただきたいと存じます。
2つは、今、困難な状況にいらっしゃる方々へ思いをはせ、共に苦しみを感じましょう。
3つは、社会復興の為に、皆様がそれぞれのお立場で、各々が持っておられる力を尽くして下さるようお願いします。
1260年前、聖武天皇の発願によって造像された大仏さまが開眼されます。聖武天皇は造像の詔(みことのり)で、自分1人で造るのではなく、「一枝の草、一把の土」を持ってでも造像に協力したいという多くの人たち(当時の人口の約半数)と共に、大仏さまの造像がなされました。大仏さまの造像にこめられた聖武天皇の思い、精神を今の時期に再現したく、皆様にお願い申し上げる次第です。
もちろん私ども東大寺も尽力いたしてまいります。ありがとうございました。どうぞお足元にお気をつけの上お参りくださいますようお願い申し上げます。


(Y)