歴代の日本伝統文化振興財団賞の全受賞者による5/31東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」の出演者の紹介するシリーズ。今回は第12回受賞者の松永忠次郎（まつなが・ちゅうじろう）さんをご紹介いたします。
贈賞理由は、「長唄唄方として近年とくに顕著な活躍を示している。幼少より今日まで厳しい研鑽を怠らず、優れた演奏を歌舞伎、舞踊会、放送などで示し、さらに河東節浄瑠璃など、古典を基盤とする新たな活動への取り組みにも意欲的で、各方面から大きな期待が寄せられている。」となっています。芸歴と併せて、こちらにご紹介しています。→http://japan.japo-net.or.jp/cultivate/recipient/recipient_12.shtml
松永忠次郎さんは1967年東京生まれです。父親の松永鐵十郎さんは、若くして明治・大正・昭和期を代表する長唄の重鎮のひとり四世松永和風（1874−1962）に見出され松永派に入って活躍し、長男の忠次郎さん、次男の長唄三味線方の松永忠一郎さん、そして同じく長唄三味線方の松永鉄九郎さんなど多くの後進を育てました。忠次郎さんの初舞台は1972年、父・松永鉄庄治（鐵十郎）さんのお浚い会でした。その年、家元九世松永鉄五郎（1915−1988）に入門。
1985年からは長唄を杵屋直吉さん（第１回・日本伝統文化振興財団賞受賞者。当ブログでもご紹介済み ◆）に、三味線を八世松永忠五郎さんに師事し、高校卒業後に本格的に長唄の道に進みます。1987年に松永鉄裕輝の名を許され、以後歌舞伎、演奏会、舞踏会、NHK放送等に出演。1993年に五世松永忠次郎を襲名しています。坂東玉三郎さんの公演に出演するほか、海外でも歌舞伎公演、長唄演奏会に多数参加して活躍。社団法人長唄協会、松永同門会、十寸見会、財団法人古曲会に所属。
松永忠次郎さんの財団賞受賞記念のＤＶＤはこちらです。収録作品は「勧進帳」と「助六」。→じゃぽ音っと作品情報：第十二回日本伝統文化振興財団賞 松永忠次郎（長唄唄方） ［日本伝統文化振興財団賞受賞制作DVD］ / 松永忠次郎
2008年5月26日にホテルフロラシオン青山で行なわれた第12回日本伝統文化振興財団賞贈呈式の模様は、当財団HP「じゃぽ音っと」のこちらのページをご覧ください。笹井邦平さんによるレポート記事です。→ ◆
当財団から発売されている松永忠次郎さんが参加しているＣＤには、人間国宝・四世望月朴清さん（1934−2007）が2004年に録音した名盤があります。→ 『鼓／望月朴清』
また、松永忠次郎さんは1994年からは河東節を人間国宝の山彦節子（やまびこ・せつこ）さんに師事し、1996年に十寸見東裕（ますみ・とうゆう）の名を許されて河東節浄瑠璃方としても活躍されています。十寸見東裕の名前で河東節を演奏した当財団から発売中のＣＤには以下のものがあります。
『一中節 須磨の月／東山掛物揃』 これは一中節のライヴ盤ですが、2001年（平成13年）11月16日・紀尾井小ホールで開催された「第10回 一中節宇治紫文演奏会」における、一中節と河東節という江戸時代に一世を風靡した浄瑠璃の掛け合い演奏による作品で、今では滅多に鑑賞することのできない「東山掛物揃（ひがしやまかけものぞろえ）」を収録した貴重なアルバム。河東節の山彦節子師と共に十寸見東裕さんも浄瑠璃で出演されています。
そして財団法人古曲会が主催して紀尾井ホールで連続開催されているシリーズ「古曲を知る会」の記録をまとめた２つのボックスセット『古曲の今 （12枚組）』、そして『古曲の今 第二集 ─河東節・一中節・宮薗節・荻江節─ （10枚組）』にもご出演されています。この２つのセットで、宮薗節は江戸時代からの全古典曲、荻江節は現存するすべての曲を聴くことができ、現代に伝わる「古曲」の全容が俯瞰できます。
来る5月31日に当財団主催で行うチャリティ公演では、松永忠次郎さんは長唄「二人椀久」にご出演されます。
東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」
開催意図、全演奏予定曲目はこちら→ 東日本大震災チャリティ公演〜日本伝統文化振興財団賞歴代受賞者による〜古典芸能の夕べ
【日時】平成23年5月31日（火） 午後６時開演（４時半開場）
【場所】紀尾井ホール（１階）
【入場料】5,000円（全席自由）
この公演チケットで、第15回日本伝統文化振興財団賞贈呈式（午後5時開始）にもご入場いただけます。
【チケットお申し込み】日本伝統文化振興財団 電話：03-3222-4155（平日11：00〜18：00）
インターネット：じゃぽマガジン | 伝統芸能 観たい! 聴きたい!
紀尾井ホールチケットセンター 電話：03-3237-0061（平日・土曜10：00〜18：00）
（堀内）
