じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

あのジャージは鱗文様?

ツール・ド・フランスなどの、海外の自転車ロード・レースを見ていると、その中のプロ自転車チームに「ケースデパーニュ」というスペイン国籍のチームがありました。


【ケースデパーニュの
ユニフォーム・ジャージ
J-SPORTSのHPより】


このチーム・ジャージの胸に大きくプリントされているロゴが「リス」をデザインしたものであることは私も後に知りましたが、チームのスポンサーである「ケースデパーニュ」はフランスのどんな町にもあるような大銀行なのです。リスは厳しい冬が来る前にせっせと木の実などを勤勉に貯蓄することから、この銀行のロゴになったようです。

【フランスのケースデパーニュ銀行】

皆さんにはこのロゴが一見してリスに見えますか?

最初はスポーツ番組の某解説者の発言に始まったという噂ですが、このロゴが「毛ガニ(蟹)」と書いてあるように見える、というのはロードレースファンの間では有名な話。

スペインチームだが出資はフランスの銀行。なのに、このジャージを見ると、どうも和風居酒屋の店内を連想してしまうのは、胸に書かれた「毛ガニ」のせいだけではない。。。赤と黒と白の配色も和風を感じさせる要因のひとつですが。。。そうか!このジャージ全身を覆う小さな三角の地模様に注目。

この三角で構成された幾何学模様は日本の伝統文様である「鱗」のようではありませんか?当財団のブログをご覧になる方の中には、歌舞伎や能の衣装でおなじみのことでしょう。『紅葉狩』や『鬼揃』に登場する鬼女の衣装がそうです。
「鱗」文様は、「龍」や「大蛇」の鱗を表しているのだそう。

【鱗文様】

そう思うと、ケースデパーニュの選手らが山岳の急坂を自転車で駆け下りる姿は(時速100キロを超えます!)、龍が空を翔けるようにも思えます・・・

ツール・ド・フランス2009、
チームTTを走るケースデパーニュ: Photo: Makoto.AYANO
ジャパンカップ2009の公式HPより転用】

残念ながら、チームは一昨年解散してしまったので、今は観ることができませんが。。。ジャージのデザイナーは日本趣味とも思えるのです。

鱗の衣装はこちらでご覧になれます。

蝋燭能 ― 鬼づくしの二夜(ふたや) ― 第二夜「紅葉狩(もみじがり) ― 鬼揃(おにぞろえ) ― 」VZBG-5(DVD)

(J)