じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

円空の特別展

10月8日(土)から明日11月27日(日)まで埼玉県立歴史と民俗の博物館で開催されている円空 こころを刻む―埼玉の諸像を中心に―」へ昨日行ってきました。
美濃の国(今の岐阜県羽島市郡上市など諸説あり)に生まれ、仏師として江戸時代初期に蝦夷地を含む全国で12万体の像を彫ったといわれる円空(えんくう)。そのうち今に残っているものはごくわずかですが、生誕の地である岐阜やおとなりの愛知はもちろん、この遠い埼玉の地にも個人所蔵を含め数多く残されており、こうした展覧会がさいたま市でも開かれています。
観音菩薩不動明王をはじめ、さまざまな形式の像があり、その造型は基本的に質素ですが、一体一体が少しずつ異なっていて、そのうちのいくつかのお顔では人間らしく笑っていてとても心惹かれるものがあります。
チケット(その背景は図録の表紙です)に写っているのは、観音院円空仏春日部市 観音院(埼玉県立歴史と民俗の博物館寄託)/県指定文化財]のひとつ、聖観音菩薩立像(しょうかんのんぼさつりゅうぞう)。自分は専門家ではありませんが、シンプルで飽きのこない良さがあるなあとさまざまな像を覗き込んでいると、時間が経つのはあっという間でした。
またどんな経緯や思いをもって円空は像を刻んでいたのか、さらにはなぜ北の蝦夷地にまでわたったのか……さまざまな説があり、想像を掻き立ててやみません。円空についての著作も近年数多く出版されているようなので、これを機会に読んでみたくなりました。
そういえば今、東京国立博物館 平成館で行なわれている「法然と親鸞 ゆかりの名宝展」も秋の展覧会シーズンの話題のひとつ。こちらも会期があとわずか(〜12月4日日曜まで)なので、機会をみて行ってこようと思います。

(じゃぽ音っと編集部T)