じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

スピルバーグ最新作『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』

12/1(木)より公開となる『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』を先日試写会で観ました。
…全編スピルバーグ自身による驚くべきカメラワークで撮影された未体験の映像は、「エンタテインメント」と「アート」、「実写」と「アニメ」、「デジタル」と「ヒューマンな温かさ」、それらすべての境界を超越した奇跡の作品として結実した…とフライヤーにあります。
以下画像はTINTIN JAPANより。原作漫画のキャラクターです。映画では「実写」と「アニメ」の融合のような、確かに未体験の映像となっていました(予告編をご覧になって下さい)。

監督は『インディ・ジョーンズ』シリーズのスティーブン・スピルバーグ、プロデューサーは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン、音楽はジョン・ウィリアムズです。公式ホームページはこちら→http://tintin-movie.jp/(予告編が自動再生されます)

タンタンの冒険旅行』(Les Aventures de Tintin)の原作はベルギーの漫画家、エルジェによって描かれた漫画。主人公の少年記者タンタン(TINTIN)と相棒の白い犬スノーウィ(Snowy)が世界中を旅行し様々な事件に巻き込まれる、というお話。
現在、アニメ専門チャンネルカートゥーン ネットワークではカナダ・フランス合作のテレビアニメ『タンタンの冒険』長編3作品、『タンタンの冒険旅行 ビーカー教授事件』、『タンタンの冒険 呪われた湖の謎』、『タンタンの冒険ななつの水晶球と太陽の神殿』を放送しているようです。

映画の中に女性オペラ歌手が登場してアリアを歌うシーンがあります。ほんの一部の出演で脇役のようなのですが、カメラはこの歌手が登場すると足下から頭まで舐めるように映し出していきます。招聘されてアリア一曲を歌うだけの役なのに、何やらただ者ではないようなクローズ・アップ。
彼女が歌うこの曲がなんだったか・・思い出せずに家に帰ってから映画のサウンド・トラックを調べてみると、トラック13「ビアンカ・カスタフィオーレのアリア(グノー:歌劇『ロメオとジュリエット』〜私は夢に生きたい)」でした。歌い出しが印象的なこの曲を、ロシア出身のアンナ・ネトレプコが歌う動画でどうぞ→


(右の写真の人物はマリア・カラス
オペラ歌手のビアンカ・カスタフィオーレ夫人は原作の漫画の中でも準レギュラー的な存在で、ウィキペディアによると「世界的に有名なオペラ歌手。白いナイチンゲールの異名を取る程の歌手であるが、彼女の歌声には耳の遠いビーカー教授を除いて皆が拒絶反応を示す」とありました。映画のなかでもそのように描かれます。
さらにビアンカ・カスタフィオーレ夫人について調べると、原作の漫画の中でいつも夫人が歌っているのはグノーのオペラ『ファウスト』の宝石の歌だそうです。こちらのブログを興味深く参考にさせて頂きました。→http://www.waseda.jp/bun-bonjour/column_furunaga.html
ロッシーニの『泥棒かささぎ』がオチで使われていた回もありましたし、タンタンとオペラの関わりは意外にあるようです」とも書かれています。エルジェがタンタンの漫画を書いていた当時は、マリア・カラスが一世を風靡した時代であったため、カラスに習って漫画中のカスタフィオーレ夫人も登場の回数を重ねるにつれファッショナブルでチャーミングになっていったようですね。

映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』のエンディングは次回に話が続くことを匂わせていましたが、やはり続編の制作がすでに決定していて、三部作になるようです。

当財団から発売している作品でグノーのオペラ『ロメオとジュリエット』から“私は夢に生きたい”や同じくグノーのオペラ「ファウスト」から“宝石の歌”が入っているものを探しましたが下のフランス作品には残念ながら収録されていませんでした。
ノイズレスSPアーカイヴズ 伝説の歌声 10 フランス アリア集Ⅰ
ノイズレスSPアーカイヴズ 伝説の歌声 11 フランス アリア集Ⅱ
もう一ヶ月しないでクリスマス・・ちょうど二年前に出ましたこちらのCDはいかがでしょうか…と言ってもオペラのアリア集ではありません。世界的に有名な伝説のオペラ歌手達によるグノーの「アヴェ・マリア」の聴き比べができますよ♪→
ノイズレスSPアーカイヴズ 伝説の歌声 1 聖なる響き

(J)