じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

1年目のデジタル化資料

国立国会図書館で、1900年初頭から1950年前後に国内で製造された音楽・演説等のSP盤の音源を聴くことができることをご存じでしょうか。
当財団も参加しているHiRAC(歴史的音盤アーカイブ推進協議会)がデジタル化作業を進めてきたもので、昨年6月のブログ記事でもご紹介しました(→歴史的音源が公開されます - じゃぽブログ)。現在では2万5000以上の音源が聴けるようになり、そのうち著作権の問題のない約600音源は、インターネットでも聞くことができます。→http://dl.ndl.go.jp/#music
国会図書館の館内限定だったものも、今年になってから一部の公共図書館で聴くことができるようになりました。北海道から九州まで40以上の図書館が配信試行提供に参加しています。→参加館一覧
先日、あたらしくインターネット公開に加わった分を聴いてみようと「国立国会図書館デジタル化資料」のページを訪ねたところ、そこに表示されている「アクセス数ランキング」が以前とがらりと変わっているのに気づきました。
1位から6位までが、「石巻日日新聞(号外)」となっていたのです。「新聞」というカテゴリーのなかに、「石巻日日新聞社のご協力により、東日本大震災後の6日間に発行された壁新聞の画像を公開しています」とあります。東日本大震災の翌日から新聞が発行できなくなったため、手書きの壁新聞で、震災の概況や石巻市の被害状況、市民への呼びかけを掲載したものです。文字数は少ないながら、緊迫感があふれ、多くのことを語りかけています。停電のため被災地では地震津波の状況がしばらくわからなかったそうで、この新聞がたよりだったことと思われます。こちらからご覧になれます→石巻日々新聞
これまで歴史的音源資料に関わってきたためか、国会図書館のデジタル化資料は、古いものを共有財産として保存し公開するものという先入観があったのですが、この新聞が加わったことで、未来に向けて残すべきものはいろいろあるのだと考えさせられました。

あの大震災から今日でちょうど1年。初めのうちは未曾有の災害におどろき戸惑うばかりでしたが、しだいに悲しい現実が次々と明らかになり、被災地ではない私たちでさえ不安な日々をすごしました。今もつらい思いをされている方が大勢いると思うと、胸がふさがります。
3月に入ってから、テレビや雑誌、書籍など、あらゆるところで大震災の特集を目にすることが多くなりました。あまりにも情報が多すぎて、かえって見逃していることがあるのではないかと思うほどです。信頼できる情報を、しっかり受け取ることができればいいと思うのですが。
今日は遠出をする予定です。14時46分、その時間にいる場所で、黙祷をささげたいと思っています。

(Y)