じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「まぼろしの国宝」展、二つ

GWが近づいてきました。いろいろ楽しい計画を立てている方も多いことでしょう。今年も遠出はしない予定なので、気になっている都内の展覧会に出かけたいと思っています。

一つは上野の東京国立博物館の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」。(公式サイト→http://www.boston-nippon.jp/
アメリカのボストン美術館は「東洋美術の殿堂」と称されているそうですが、海外にある日本美術コレクションとしては世界随一の規模と質の高さを誇るというコレクションから、厳選された約90点が里帰りしています。
明治時代、日本美術にとりつかれた2人のアメリカ人、フェノロサとビゲロー、そしてフェノロサに学んだ岡倉天心によって熱心に蒐集され、大事に保護されてきたコレクションです。国内にあれば国宝指定まちがいなしという、貴重な「まぼろしの国宝」を拝見したいと思っています。

そしてもう一つは、根津美術館の「KORIN展」。(→根津美術館
尾形光琳が描いた根津美術館蔵の国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」。いまは遠く海をへだてている2つの作品を同時に展観しています。これは昨年の春に企画されていた展覧会でしたが、3月の大震災後、急遽中止となってしまい残念に思っていました。忘れかけていたころ、1年延期をして開催されることを知り、チェックしていたものです。
ポスターやチラシの"KORIN"の文字は、日本の名筆の部首などをとってつなぎ合わせたものだとか。とても勢いがあって、もしかして尾形光琳がローマ字のサインを残していたの?と思ったほどです。
規模は上野のボストン美術館展ほどではありませんが、やはり貴重な作品の里帰り。こちらも気に入っている根津美術館のお庭とともに楽しみたいと思います。(→「春日の風景」展 - じゃぽブログ
どちらのお宝も海外にあるのは寂しいような気もしますが、こうして間近に観る機会を得られることは有り難いと思わなければなりませんね。彼の地で世界の宝として大切に保管されているのですから。

(Y)