じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

東と西の出会い バーナード・リーチ展

9月に入って東京にもようやく雨が降り、少ししのぎやすくなりました。いよいよ芸術の秋、気になる演奏会や展覧会が目白押しですが、先日、東京・日本橋高島屋「生誕125年 東と西の出会い バーナード・リーチ展」に行ってきました。

バーナード・リーチの陶芸作品は、以前、東京・駒場日本民藝館で見たことがありましたが、今回は国内の主要美術館や個人が所有する作品約100点が出ているということで、楽しみに出かけました。
イギリス人の作なのにどうしてこんなに懐かしい気分になるのだろうと思っていたのが、今回の展示の解説と会場で上映された紹介ビデオを見て、日本との深いつながりを知り、腑に落ちました。
4歳まで日本ですごしたリーチは、その後イギリスで育ち美術学校で学びますが、ずっと日本にあこがれを抱き続け、ラフカディオ・ハーン小泉八雲)を愛読し、ついに22歳で日本再訪を果たします。やがて民藝運動を指導する柳宗悦と知り合い、日常生活の中で芸術をとらえる視点をもち、しだいに自身が陶芸家の道を志すにいたりました。
日本の陶芸家と交流し、帰国後もたびたび来日して各地の窯を巡るとともに、日本の職人たちに技やデザインを惜しみなく教えたそうです。「東洋と西洋の美の融合」がリーチの目指したところであり、近代日本の陶芸が進むべきひとつの指標になったとのこと。
民藝品の陶器のコーヒーカップなどいまでは珍しくありませんが、日本の窯で日常使いの洋食器を作るというのも、リーチが指導したものだと知りました。リーチの作品は日本風でありながらもどこか西洋のセンスが現れていて、それがいまでも新鮮で、うちにも一つあったらいいなと思ってしまいます。
リーチの作品はなかなか手が出ませんが、高島屋では「用の美とこころ 民藝展」を同時開催していて、家具や食器から日常の小物まで、全国の美しい民藝品を展示販売しています(入場無料)。実演もあって、ぐるっと巡るとこちらも目を楽しませてくれます。

高島屋はリーチとも深いかかわりのある民藝運動に賛同し、民衆の美を発見する民藝品の大博覧会を、昭和9年に東京と大阪で開いたそうです。
70年以上のときを経て再び大規模な民藝展ができるということは、その技術や材料が地域で大切に伝えられてきたということですね。実際に柳宗悦らが足を運んだ工房からの出展もあるそうですし、新しい作家の作品も出ています。全国の美しい民藝品から、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょう?
9月10日(月)まで開催しています(最終日は午後6時まで)。
関連リンク
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(Y)