じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

栄芝さんの会

今日は栄芝(えいしば)さんの会に行ってきました。

今年で32回を数える「栄芝の会」ですが、栄芝さんは端唄のお名前で、小唄では春日とよ栄芝さん。当財団主催のビクター名流小唄まつりでもトリをつとめていただいています。
日曜日の午後4時からの会、日本橋三越の6階にある三越劇場のロビーには贈られたたくさんのお花が並び、和服姿の方々で華やいでいました。
第一部の小唄は「神々の恋路 古事記ー千三百年−」と題した創作。語りに風間杜夫さんを迎え、7曲が披露されました。
古事記」と小唄の組み合わせってどんな?と初めは想像もつきませんでしたが、神様たちの恋のお話をうまい具合にとりこんで、色っぽくもかわいらしい栄芝さんの小唄の世界が繰り広げられました。風間杜夫さんが古事記のお話をかみくだいて軽やかにナビゲーター役をつとめていたのも楽しめました。
小唄「神々の恋路」は台本とともに東龍男さんの作。そして作曲は清元栄吉さん。ドラマティックな効果をおりこみながらも、江戸風の小唄に仕上げていて、今年の財団賞受賞者の創作活動の幅の広さを知ることができました。作調は人間国宝堅田喜三久さんで、今日はご本人がすべて蔭囃子で演奏されるという贅沢な演出でした。
第二部は端唄づくしで「座敷唄にしひがし」。歌いつがれてきた、味わいの違う西と東の座敷唄を5曲ずつ、手拍子こそでませんでしたが存分に楽しみました。
昨年は大震災のため会を控えたということで、2年ぶりの会にとりわけ会場はにぎわっていたようです。補助席も出る盛況ぶりで、最後の栄芝さんのごあいさつの一言一言に客席が沸いていました。
栄芝さんの小唄のCDはたくさん出ていますが、最新作はこちら。

じゃぽ音っと作品情報:春日三番叟 春日とよ栄芝の小唄 /  春日とよ栄芝 他
そして、第一部の作曲を担当した清元栄吉さんの日本伝統文化振興財団賞受賞記念(副賞)のDVDは10月24日に発売されました。

じゃぽ音っと作品情報:第十六回日本伝統文化振興財団賞 清元栄吉(清元三味線方) [日本伝統文化振興財団賞受賞制作DVD] /  清元栄吉
清元三味線方としての古典の演奏と、作曲家として、また三味線演奏家としての多才な面を紹介しています。収録曲は6月の財団賞贈呈式の記念演奏会で披露した清元「六玉川」と自作の「触草〜クサニフレレバ」に加えて、やはり自作の「etude(エチュード)」。こちらは三味線2挺による小品ですが難曲で、栄吉さんと長唄三味線方の松永忠一郎さんによる素晴らしい演奏です。ぜひ見て聴いていただければと思います。

(Y)

関連リンク 日本伝統文化振興財団賞記念演奏会 - じゃぽブログ