じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

菊池杜支朗さん「津軽の響き」公演を拝見して

先週末の11月17日(土)、横浜市栄区公会堂ホールにて民謡の菊池杜支朗(きくちともしろう)さんを中心に、「津軽の響き〜東日本復興支援がんばれ東北」と題した公演が開催されました。

菊池杜支朗さんは、日本の民謡、踊りを中心に津軽三味線津軽踊り、秋田角野町に伝わる国の無形文化財として指定されている『飾山ばやし』等を演目とする嬉多國(きたぐに)社中を結成し、唄、津軽三味線の指導をしつつ、出張民謡社中として活躍中です。

菊池杜支朗さんの奥様であり、民謡では数多くの優勝経験を持ち、唄に踊りにと多くの舞台で活躍されている菊池妃名子(ひなこ)さんも嬉多國社中のメンバーでいらっしゃいます。

その嬉多國社中とゆうわ子供太鼓連のメンバーによるオープニングは「道中ばやし」。ゆうわ子供太鼓連のお子さん達は最初緊張していたようですが、曲が進むにつれ太鼓のバチさばきも軽快になり、オープニングにふさわしい明るく華やかな雰囲気の中、公演が始まりました。

続いて菊池杜支朗さんによる曲弾き「津軽三下り」、唄「津軽謙良節」、そして菊池杜支朗さん伴奏で菊池妃名子さんの唄で「津軽よされ節」と続きました。

お2人の息の合った演奏の後は、嬉多國社中他の皆様による演奏です。津軽三味線の合奏あり、それに唄を合わせた合唱、そしてこの日が初舞台となった4名の方々の緊張感あふれる演奏などが披露されました。

そして第2部は、先月日本武道館で行われた郷土民謡民舞全国大会のミニ合奏の部で、見事チャンピョンに輝いた嬉多國社中による津軽じょんから節「宴」で始まりました。

中の堂々とした演奏を聴かせていただいた後、また唄や踊り、津軽三味線曲弾き、尺八といろんな楽器の音色を楽しみました。中でもプロギタリストのムラカミ芳樹さんの伴奏で菊池杜支朗さんが唄った「江差追分」は、新しい民謡の表現で、初めて聴かせていただきましたが、とても興味深く、ぜひまた聴いてみたいと思っています。

終盤、菊池妃名子さんの素晴らしい歌声と菊池杜支朗さんの伴奏による津軽民謡でしめくくられた後、フィナーレとして「嬉多國のソーラン節」という社中のテーマソングとも言える曲が演奏されました。嬉多國社中と会場の観客も一緒に手拍子をし、唄い、笑顔あふれる中、終演となりました。

長時間の公演でしたが、大変楽しかったので私はあっという間に終わってしまったという感じでした。出演者全員が民謡を楽しんでいるのがわかりましたし、それが観客に伝わり見る側も楽しくなって来たのだと思います。それもご指導されている菊池杜支朗さん、妃名子さんの信念がそうであるからだと感じました。

その信念を携えて、来週11月27日(火)には鹿児島県において、同じく「津軽の響き 〜鹿児島チャリティー公演―2012〜」と題した公演が予定されています。津軽三味線津軽民謡の神髄を伝えると共に、「津軽の魂」と「悠久の響き二胡」のセッションにて新たな可能性を探るとのこと。こちらも大変興味深いですね。開催にあたり収益金の一部を鹿児島県日置市社会福祉協議会を通じ社会福祉活動にご寄付されるそうですので、お近くの方はぜひよろしくお願い致します。詳しくはこちらをご覧ください。→

菊池杜支朗さんの最新アルバムはこちらです。→
メイン曲である「古調津軽あいや節」はぜひ一度聴いていただきたい、深くて重みのある曲です。

(K)