じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

法螺貝(ホラガイ)と修二会(しゅにえ)

先日当財団のツイッターでも「東大寺二月堂修二会の主な行事予定表」のサイトURLを投稿しましたが、来週12日深夜(13日の午前にあたる時間)にはいよいよ「お水取り」が行われます→http://www.nantokanko.jp/gyoji_syunie-timetable.html
今年こそは私も拝観に参りたいと思い、手元にCD『お水取り 東大寺修二会(実況録音)[語り:小沢昭一]』 を置いて、別冊附録の「お水取りハンドブック」を再読しておりましたが…スケジュールの都合上、今年も無理かもしれません→http://search.japo-net.or.jp/item.php?id=VZCG-731

正月にこちら→ 参詣 - じゃぽブログ の「お護摩祈祷」エピソードを読んで、「お坊さんが法螺貝を吹きながら入場」というのが印象深かったせいなのか(?)、「お水取りハンドブック」p22−23の「貝」の章が興味深く、法螺について以下、「お水取りハンドブック」より抜粋します。

古来仏事の楽器として用いられてきた法螺は、釈迦如来の説法の声が轟きわたる様をその音に喩えたことに由来するといわれる。 
「法螺を吹く」という表現は、日常語においては、物ごとを大げさに言うことを意味して、すっかり評判の悪い語になってしまったが、本来は法螺の音そのものの大きさや、その音に象徴される仏の声の偉大さを表すことばであった。
法螺は千手(せんじゅ)観音の一手に持たれ、諸天善神(しょてんぜんじん)を招き呼ぶ時に用いられるとか、法螺の声を聞く衆生(しゅじょう)は罪障(ざいしょう)を消滅し、西方極楽往生を遂げることができるなどということが、千手千眼(せんじゅせんげん)観音や不空羂索(ふくうけんさく)観音について記す密教教典に説かれている。
修二会では、「初夜(しょや)」・「後夜(ごや)」の悔過作法の後に「貝(かい)」と称する、国中の神々の来臨(らいりん)を請う勧請(かんじょう)作法がある。「驚覚(きょうがく)」という、法螺の音によって神々を覚醒させ、大導師作法における祈願の場に神々を招く、いわゆる神降ろしの作法である。   

前出のブログの「お護摩祈祷」で「お坊さんが法螺貝を吹きながら入場」というのは、神様を祈祷の場にお招きしていたわけですね。

ちなみにウィキペディアの法螺貝(ホラガイ)を見てみると以下の記載がありました。

東大寺二月堂の「お水取り」では、堂内から鬼を追い祓うため、法螺貝が吹き鳴らされる。J-POPでは歌手の忌野清志郎が生前よくライブ等で愛用していた。


山伏は法螺貝を持っていますよね。山中での互いの連絡や合図のために使用し携行する「修験十二道具」の中の一つだそうです。東京都八王子市にある「高尾山薬王院有喜寺」のサイトに山伏の修験十二道具・十六道具について詳しく説明されていました→http://www.takaosan.or.jp/syugen_dougu.html この中の「法螺 ーほらー」の欄のイラストをクリックすると山伏の法螺貝の音が聞けます。

楽器としては、一週間前の3月2日に開催された「中新田縄文太鼓 20周年記念コンサート」では、三善晃作曲「出陣の譜」(1997)と国宝松本城古城太鼓のための組曲「四季」(1998)で法螺も演奏されていたようですね→三善晃の地域芸能作品が再集結! - じゃぽブログ

また昨年の9月になりますが、ジョン・ケージの「Two³」を笙の東野珠実さんが法螺貝の瀬藤康嗣さんと共演したものも記憶に新しいところです→現代に生きる日本の伝統楽器 - じゃぽブログ

このCDの15トラックに、山形県の現地録音「松の勧進帳の法螺貝」があります→じゃぽ音っと作品情報:日本の音風景100選まるかじり(2枚組) /  現地録音(field recordings)


◎ご参考URL
http://www.nantokanko.jp/gyoji_syunie.html#a
東大寺二月堂で - じゃぽブログ

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