じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

伝統音楽教材「名手・名曲・名演集」

文化庁では平成23年度から「伝統音楽普及促進支援事業」を進めています。当財団ではこのなかの「教材作成事業」の委託を受けて、23年度は教材作成検討会議を開き、24年度はそれにもとづいて中学校音楽の伝統音楽教材として「名手・名曲・名演集」を作成しました。

3月末にできあがり、全国のすべての中学校(国公立、私立を含む)約10,700校に無料で配布しました(非売品です)。
内容は、日本の伝統音楽の「名手」による「名曲」の「名演」を厳選し、42曲をCD4枚組に収めたものです(左が解説書)。

教材作成検討会議では音楽教育の現場に様々な立場でかかわっている先生方のお話を伺い、いろいろなアイディアをいただきました。その後も討議を重ねた結果、数多くの伝統音楽をリリースしてきた当財団の強みを生かした教材を作ろうという結論にいたり、このような音源集が実現しました。学校の先生にも生徒たちにも、まずはよい演奏を聴いてもらいたい。それが伝統音楽に興味をもつ第一歩になるのではないかと考えたからです。
4枚組のCDは次のような編成になっています。演奏は主に昭和から平成にかけて活躍した名人(故人を含む)で、人間国宝の演奏も数多く含まれます。
「1.うたう〜日本の声の真髄を知る〜」
「2.語る〜言葉と節に耳を傾ける〜」
「3.奏でる〜楽器の音色を感じとる〜」
「4.囃す〜鳴り物の競演を楽しむ〜 付録・現代邦楽」

各地の中学校から、お礼のメールや電話、手紙が届いていますが、「大事に活用します」との一言がそえられていることが多く、心強く思います。このCDを聴いて、日本の音楽の楽しさ、美しさ、豊かさなど何か感じ取ってもらえればと願っています。
最後に、「伝統音楽普及促進支援事業」について、文化庁のサイトより引用してご紹介します。

伝統音楽普及促進支援事業
三味線音楽や箏曲などの我が国で古くから人々に親しまれてきた伝統音楽は,今や継承することが危機的な状況になっています。このままでは,気がついたときには消滅している可能性もあります。
それを防ぐには,次代を担う子供たちが,学校の授業の中で伝統音楽に触れ,将来の伝承者や理解者に育っていく環境を醸成していくことが必要です。
学習指導要領の改訂により,音楽の授業で扱う伝統音楽が充実されました。
これを契機に,学校教育において伝統音楽を効果的に扱うためにはどうしたらよいのか,実演家,教員,さらには支える人たち(調整者)が協働して,伝統音楽の素晴らしさを子供たちに教えていく仕組みが形成されることを目指しています。
伝統音楽の実演家団体等が取り組む3つの事業を支援します。

●合同研究事業
楽器演奏及び歌唱を学校の授業で教えるために必要な指導方法について,実演家,教員等が合同で行う研究会,講習会,成果発表会。
●コーディネーター支援事業
学校の授業で行う場合に必要となる外部講師との調整,諸準備等を実質的に行う調整者(コーディネーター)を育成するための研修会。
●教材作成事業
学校の授業で使用する参考書,教則本等を作成するために行う検討会及び作成。

(Y)
関連記事
教材づくり研究中(その後) - じゃぽブログ
教材づくり研究中 - じゃぽブログ