じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

代々木能舞台/果迢会定例会

こちらのブログでご紹介いたしました「故小早川泰士二十三回忌追善能(4月14日・観世能楽堂/東京都渋谷区)」に行って参りました。春らしい温かな日、午後1時からの公演。5時間に及ぶフルでの公演で、とても見応えがありました。わたし個人的には最後の「石橋」が一番印象的で、そのド迫力に圧倒されて朦朧(もうろう)としながら家路に着きました。

さて、今回観世能楽堂には初めて参りまして、危うく道に迷いそうになりました。能楽堂から徒歩3分くらいの場所で迷子になり、辺りは閑静な住宅街なので、住人とおぼしき方に道を聞いたのですが、ご存じないとの事(私の持っていた地図で確認して教えてくださいましたが)。意外と近くにお住まいでも、ご興味やご縁がないと、能楽堂の存在をご存じない方が多いのかもしれません。おもえば自分自身も、若かりし頃Bunkamuraに映画を観には行っても、その裏にある能楽堂の存在は知らなかったものです・・・。


同じ渋谷区で言いますと、比較的わたしのよく出没する京王新線初台駅付近にも、今まで気づいていない能を観られる場所があることが分かりました。初台駅といいますとオペラシティや新国立劇場についてはよく知られていますが、能舞台が近くにあることは皆さまご存じでしょうか?

代々木能舞台ホームページ

もっともこちらの能舞台は、追善能の小早川氏がメンバーの一人である代々木果迢会(かちょうかい)の代表者浅見真高(まさたか)氏のご自宅内にある「屋敷内能舞台」、と聞いております。ご自宅の一部ですから、興業的な劇場としての能楽堂ではありません。いわゆる劇場建物の中にしつらえられた能舞台と違い、お庭に面した舞台ですので季節のよい時しか公演を行わないそうで、今年は5月〜10月までの様子。それにしても、ご自宅の半分が生活空間としてのお屋敷、もう半分が能舞台との今はなかなか見られない様式。都内に唯一現存するのではないかといわれる貴重な「屋敷内能舞台」だそうです。

代々木能舞台は、大正・昭和初期、都内に数箇所存在していた屋敷内能舞台の現今では数少ない遺構のひとつです。昨年、国の登録有形文化財に指定されました。屋内の敷舞台は昭和8年、中庭に面した本舞台は昭和25年の築造です。現在の一般劇場風の能楽堂と違い古風で柱も多く、色々ご不便もおかけする面もあると思いますが、昔はこのような形で演能が行われていた事に思いを致していただければ幸いでございます。
Let’s Enjoy Tokyoより引用

浅見真高氏が代表を務める代々木果迢会メンバー他による定例会が行われており、今年初回は『西行桜』です。

5月24日(金) 西行桜  浅井 文義
6月21日(金)   善知鳥 浅見 慈一
9月27日(金)   籠太鼓   浅見 真州  
10月25日(金) 江 口   小早川 修
午後六時半開演 於 代々木能舞台
前売 4500円 当日 5000円 学生2000円
例会のご予約:TEL 042-462-9350(小早川)
FAX 03-3370-2757(代々木能舞台
Email info□yoyoginoubutai.com(emailする際は□を@に変えて送信ください)

公演に先立ち、上記演目について予習する「プレレクチャー」が開催されます。合わせて行かれてみてはいかがでしょうか。季節を肌で感じる薪能の趣に似ているかもしれない、などと想像します。きっととても素晴らしい雰囲気での能舞台なのでしょう。私も興味津々、早速行って参りたいと思います。

(弘)