じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

雅の音、時空に遊ぶ…伶楽舎第11回雅楽演奏会 伶倫楽遊

雅楽演奏グループ伶楽舎(れいがくしゃ)の演奏会をご紹介させていただきます。


伶楽舎第11回雅楽演奏会
[日時] 2013年6月2日(日)13:30開場/14:00開演
[会場] 紀尾井ホール(1F) アクセスは こちら をご覧ください
[入場料(全席指定席)] S=4,000円、A=3,000円、B=2,000円
[曲目]
・管絃 平調音取(ひょうじょうねとり)
、秋燕子(しゅうえんし)〜皇麞一具(おうじょういちぐ)〜 遊声、破、颯踏(以上、芝祐靖補曲)、急(明治撰定譜)
舞楽 抜頭(ばとう) 右方
・紫御殿物語(むらさきごてんものがたり) 伊左治直作曲・委嘱初演
[チケットお取扱い]
 紀尾井ホールチケットセンター Tel.03-3237-0061(月〜金10:00〜18:00)
 東京コンサーツ Tel.03-3226-9755(月〜金10:00〜18:00)
 e+(イープラス)
[お問合せ]
 伶楽舎 Tel.&Fax.03-5269-2011 / Email inforeigakusha.com (に変えて)
 東京コンサーツ Tel.03-3226-9755 

伶楽舎は、芝祐靖氏が中心となって1985年に発足。以来、現行の雅楽古典曲の演奏はもちろんのこと、廃絶曲の復曲、作曲家への委嘱などによる現代作品の演奏、さらにはワークショップ・レクチャーコンサートといった普及活動まで、国内外で幅広く活動を展開しています。「雅楽」という言葉すら一般に認知度の低かった30年前を振り返ると、改めて、伶楽舎と芝祐靖氏の業績の大きさを感じます。
「伶楽舎」の名称は、じつは「伶倫楽遊舎」の略称なのだそうです。“楽人の祖とされる古代中国の「伶倫」に因んで、雅楽の源と新しい雅楽の創造を探求する、従来の枠にとらわれない自由な活動を目指してつけられた会名”とのこと。
第11回を数える今回の自主演奏会では、まず、「管絃(かんげん)」と呼ばれる、舞を伴わない演奏形態による「平調音取」「秋燕子〜皇麞一具〜」。「管絃」と言っても、打楽器も入ります。“純音楽”“インスト”ということですね。平安文学に登場する「管絃の遊び」の「管絃」です。
続く舞楽「抜頭」は、「枕草子」の時代から人気の舞楽作品で、「抜頭は髪を振り乱して舞うところがよい。目の辺りなどは嫌な感じだが、楽(=音楽のこと)も、とてもよい」と清少納言が語っているそうです。曲は2+3の5拍子(!)で演じられます。この拍子は夜多羅拍子(やたらびょうし)と呼ばれ、私たちが日常会話で使う“やたらに○○する”というときの“やたら”の語源だそうです。
そして終曲は、伊左治直氏作曲委嘱作品「紫御殿物語」の初演です。作曲者ご本人のコメントによれば、
単に音楽作品の一つとして書くというよりは、何か架空の歴史上の舞台を設定し、そこで演奏されたかも知れない音楽を、残された手掛かりから復元してみたら不可思議な作品になった、という設定
だそうです。全10曲からなる長大な組曲で、「紫御殿」から始まり、「夕化粧」「果物時計」「球簾」など、1曲ごとに花の名が付けられていて、どれも南国原産種の不思議な花ばかりだとか。

清少納言の時代から架空の南国(?)まで、時空間を遊ぶ、不思議体験ができそうな……!!



伶楽舎公式サイト
≪CDご紹介≫
 芝祐靖の音楽 復元正倉院楽器のための 敦煌琵琶譜による音楽
 芝祐靖の音楽 古典雅楽様式による雅楽組曲「呼韓邪單于」 — 王昭君悲話 —

(YuriK)