じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

明治神宮御苑 【花菖蒲】

明治神宮御苑の花菖蒲は、先週が見頃だった模様。今週水曜日、仕事が始まる前の朝8時早々、菖蒲を観に御苑に参りました。前日は大雨。梅雨の時期、つかの間の明るい朝だったのですが、花の数はずいぶん少なくなってしまっていました。とても残念。美しい風景に癒されはいたしましたが・・・正直な気持ちは、「来年は絶対、花の盛りに観に行くゾ」です。(明治神宮HPより花菖蒲のご案内→)

御苑は江戸時代初期には熊本藩加藤清正の、のちには彦根藩井伊直孝下屋敷(しもやしき)庭園だったとのこと。明治時代になると、宮内庁所管となり代々木御苑と称され、1893年、御苑内に菖蒲田が明治天皇の命により昭憲皇太后のために造られました。

御苑全体がうっそうとした林になっていて、北門から入ると、熊笹の中を縫うように曲折した小怪を進みます。子砂利で整備されていることを除けば、どこかの山の麓の林道を歩いているよう。朝だからか人も少なくて、その静寂がとても気持ちがよい。歩みを進めると、池があり、そのまた先に菖蒲田が広がっています。

菖蒲田を眺めていると、花がまとまりごとに種類が違っていて、趣のある名前の書かれた、小さな立札が添えられていることに気が付きます。宇宙(おおぞら)、仙人洞(せんにょのほら)、九十九髪(つくもがみ)など、花菖蒲の品種名です。現在、ざっと150種1500株が植わっているとのこと。ピークの時期であれば、互いに咲き競う様子は、圧倒される程の美しさだったのになぁ、と残念な反面、来年に期待がかかります!


清正井(きよまさのいど)も訪れました。菖蒲田を潤すのは、ここから湧き出た清らかな湧水です。警備の方(菖蒲の大事な水源であるからこそ、厳重な管理をしているのですね)が仰るには、明治神宮本殿の方には地下水が出る水脈があるようだとの事。それが、他の浸透した雨水と合わさって湧き出でるようになったのが、この井だそうです。多くの人が訪れる都合上、飲料を禁止しているようですが、その水質が秀逸であることは折り紙つきとか。

菖蒲田を後に、西参道へと徒歩で抜け出ました。西参道は、原宿につながる南参道と比べてひっそりとしていて、うっそうと大樹が生い茂っています。まさに鎮守の森。そこここに神を感じる神秘的な自然をたたえています。

(弘)