じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「本朝廿四孝」 文楽二月公演より

文楽東京二月公演が始まりました。都心にも前日の雪が残る9日の日曜日、第三部に行ってきました。「御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)」と「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」の2演目です。

「本朝廿四孝」は昨年の日本伝統文化振興財団賞の受賞者、豊竹呂勢大夫さんが贈呈式の記念演奏会で披露された演目です。同じ「奥庭狐火の段」を、人間国宝鶴澤清治さんの三味線で文楽ご出演とのことで、とくに楽しみに伺いました。

「本朝廿四孝」から、まず「十種香(じゅしゅこう)の段」。吉田簑助さんが遣う八重垣姫が上品で可憐で、目を奪われました。
「奥庭狐火の段」では、白狐をあやつる桐竹勘十郎さんが狐火を散らした白い衣裳で登場しますが、やがて八重垣姫に早替わり。気がつけば人形を遣う勘十郎さんの衣裳も黒紋付に替わっていました!
こちらは一転して情熱的な八重垣姫です。恋しい武田勝頼の危機をなんとしても救おうという一心から諏訪明神の狐がのりうつった姫は、狐たちと一緒に大きく左右に跳びはね、氷の張った諏訪湖を一路渡って行きます。
財団賞の贈呈式では素浄瑠璃でしたが、呂勢大夫さんの浄瑠璃に、同世代の鶴澤藤蔵さんの三味線、若い鶴澤寛太郎さんのツレ弾きと琴で、とてもノリのいい演奏でした(写真下)。

今回の文楽の公演では、人間国宝鶴澤清治さんの三味線ということで、また違う味わいがありました。人形が派手な動きをする分、たっぷりと聞かせる演奏が心地よく、人形も見たいし太夫も三味線もと、どちらも目が離せず困りました。
八重垣姫の高揚した気分が客席にも伝わって幕となりましたが、床に並んだ呂勢大夫さん、清治さん、ツレ弾きの清志郎さんにも大きな拍手がわき起こりました。外の寒さをすっかり忘れてしまうほど熱気の国立小劇場でした。
東京での文楽二月公演は2月24日(月)まで。日にちによってはまだ少し席があるようです。ぜひともお出かけください。
呂勢大夫さんと清治さんによるDVD、CDも発売中です(いずれも演目は「卅三間堂棟由来」)。

DVD「第十七回日本伝統文化振興財団賞 豊竹呂勢大夫」

CD「卅三間堂棟由来」
国立劇場売店でも販売していました。ネットショップでもお求めになれます。こちらもまた聞きたくなりました。

(Y)