じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

義太夫・三味線 一日体験教室に行ってきました!

「人生何事も体験・経験!」がモットーの私、先週の土曜日に赤坂の豊川稲荷文化会館で開催された、一般社団法人義太夫協会主催の義太夫・三味線 一日体験教室に行って参りました。午前と午後に分かれて、三味線コース、語りコース、それぞれ90分。片方だけの受講でも構わないのですが、欲張りに両方挑戦してみました。
三味線コースでは、受講生2人に1挺ずつ三味線が用意され、既に調弦も整えられていました。撥と指すりと手拭いも銘々の分が用意されています。会場は和室で、基本、正座です。
鶴澤寛也師のご指導の下、講座が始まりました。まず撥の持ち方から……撥の開いている方を左手で上から掴んで持ち上げ、右手の薬指と小指の間に撥を挟み、親指と人差し指と中指も撥に添えるようにして握ります。このとき小指の関節を見せないように……という説明を受けて、持ってみました−−痛いっ!!そして撥の重いこと!
ここで受講生全員にバンドエイドが配られました。「いちばん赤くなったところに貼ってください」と。それから「野崎村」「ソナヘ」「三重」の3つのフレーズを教えていただいたのですが、弦を弾こうとすると、撥が弦に持って行かれそうになります。義太夫三味線奏者の方々は、日頃から、なんてすごいことをなさっているのでしょう!
さらに義太夫では、撥の弦への当て方は一通りではなく、様々な弾き方で様々な音色を作り出すのだそうです。義太夫の三味線は「伴奏」ではなく「演出効果」であり、情景を表わすものだとのこと。
2人で交替しながら、90分で3つのフレーズを何とか形に仕上げることができました。終了後、アンケートに記入しようとしたら、ペンを持つ手がヘロヘロ……
こんど義太夫を聴くときに、習ったフレーズを想い出せますように!三味線奏者の方の撥さばきも、しっかり拝見しようと思います。

午後は語りコース。講師は竹本越京師です。最初に、語り物とは何か、その歴史、義太夫では呼吸が一番大切、といったお話を、構えた三味線を時々鳴らしながら、語ってくださいました。
語り物とは、音楽的に進化した朗読
なるほど〜! 実際にお稽古に入ると、このことがリアルに解ってきました。教材は卅三間堂棟由来から木遣り音頭の段です。義太夫では、枕(冒頭)と段切り(終結部)を除くほぼすべてが、登場人物の語り分けであること。「地(じ)」と「詞(ことば)」というのは、必ずしも地の文・セリフとは一致しておらず、むしろこの不一致・切り替えによって、ぐいぐいとストーリーを推し進めていくこと。対句的表現に於いては語り方も対照的に、たとえば「押せども引けども」では、「押せども」はじりじりと、「引けども」は一気に……などなど。江戸時代の日本人は、なんてすごい“音楽的に進化した朗読”を作り上げたんでしょう!いままで、義太夫を「音楽」としてしか捉えてこなかった私は、義太夫という大海の、ほんの一滴しか知らなかった気がしてきました。

目からウロコの感動と、鶴澤寛也師と竹本越京師への感謝と、まだわずかに残る右手の痛みを抱えて会場を後にする私を、豊川稲荷の八重桜が見送ってくれました。

さて、私の拙いレポートをお読みくださって、義太夫を習ってみたくなった方、「こんな説明じゃ、まるで解りゃしない。ちゃんと教わらなきゃ」という方、第67期義太夫教室の受講生を只今募集中です!


第67期 義太夫教室
◇入門コース 4月19日(土)〜7月26日(土)毎週土曜日
 1時限目(11:00〜12:00)講義
 2時限目(12:10〜13:10)実技
 受講料:35,000円(前納)テキスト代及び義太夫協会会費含む
◇実践コース 9月13日(土)〜2015年3月21日(土)毎週土曜日
 1時限目(11:00〜12:00)語り実技
 2時限目(12:10〜13:10)三味線実技
 受講料:月謝制 受講内容により異なります。楽器貸与(有料)
     語り=8,000円
     三味線=9,000円
     両方=19,000円


[会場] 豊川稲荷文化会館 3階
 東京メトロ銀座線・丸の内線「赤坂見附駅」B出口徒歩5分
 東京メトロ有楽町線半蔵門線南北線永田町駅」7番出口徒歩5分
 アクセスはこちら
[お申込み・お問合せ] 一般社団法人 義太夫協会 Tel.03-3541-5471 Fax.03-3346-2334 メール am-gidaygidayu.or.jpに置き換えて)

義太夫公演のご案内チラシもいろいろいただいてきました。
      

5月3日(土・祝)・4日(日)には、先日ご紹介したひとみ座 乙女文楽でも、竹本越孝師の義太夫と鶴澤寛也師の三味線を拝聴できます。

卅三間堂棟由来といえば、こちらのDVD・ CDもお見逃し・お聴き逃しなく!
卅三間堂棟由来 豊竹呂勢大夫 第十七回日本伝統文化振興財団賞受賞記念DVD VZBG-46


卅三間堂棟由来 豊竹呂勢大夫 第十七回日本伝統文化振興財団賞受賞記念CD VZCG-781


◎ 関連記事 ひとみ座 乙女文楽
◎ 一般社団法人 義太夫協会 公式サイト


(YuriK)