じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

芸大の学位審査演奏会

先日1月26日、東京藝術大学音楽学部・修士課程の学位審査演奏会に行ってきました。
この会は、大学院音楽研究科の修士課程終了のための卒業実技試験みたいなもので、およそ半月に渡って指揮、ピアノ、管楽器、打楽器、弦楽、独唱、邦楽などの審査が行われます。
そしてこの会は実は一般の方も無料で聴く事が出来るんです!
将来を嘱望されたレベルの高い若手演奏家による、技巧を凝らした演奏が、しかも無料で聴ける!超おすすめの会です。
私が行った日は邦楽科の演奏会で、会場は超満員でした。プログラムは以下です。

東京藝術大学大学院音楽研究科(修士課程)
長唄三味線・邦楽囃子・筝曲山田流・筝曲生田流・尺八琴古流
1、長唄三味線 林万里子「傀儡師」(四世杵屋三郎助作曲)
2、長唄三味線 田井藍古「土蜘」(三世杵屋勘五郎作曲)
3、邦楽囃子 石森裕也「英執着囃子」(初世杵屋弥三郎作曲)
4、邦楽囃子 橋口瑞紀「四季三葉草」(二世清元斎兵衛作曲)
5、箏曲山田流 近藤有里子「江の島曲」(山田検校作曲)
6、箏曲山田流 長岡咲也子「千里の梅曲」(山田検校作曲)
7、尺八琴古流 青木由貴「残月」(峰崎勾当作曲)
8、箏曲生田流 日原暢子「屋島」(作者不詳)
9、箏曲生田流 山水美樹「越天楽変奏曲」(宮城道雄作曲)


とくに最後の「越天楽変奏曲」は独奏箏と芸大生のオーケストラによるコンチェルトで、とても聞きごたえのある素敵な演奏でした。
大掛かりな編成故になかなか聴く機会の少ないこの曲は、いわずと知れた雅楽の代表曲「越天楽」をモチーフに、宮城道雄氏がオーケストラとの協奏曲に作・編曲したものです。
宮城氏初作曲となるオーケストラとの協奏曲で、1928(昭和3)年の初演は大評判だったそうです。またご自身も作曲と演奏両方にわたって出世作と自負したようで、晩年に愛用した箏の銘にも「越天楽」の名を付けるほど大切な曲としていたようです。

越天楽変奏曲についてのCD、DVDは過去のコチラのブログにも書かれています。
そして私おすすめのこちらのCDはコチラです。
宮城社百周年記念 宮城道雄作品規範集成 (16枚組)
ちょっとお高い商品ですが!内容がとっても濃〜いCDです。なんと16枚組。
越天楽変奏曲はDISC4に収録されており、演奏は宮城道雄氏によるもの。
「オーケストラ版」と「邦楽器版」が両方収録されており、奏でる楽器が違うだけでこうも味わいが変わるのか、と驚かされます。
是非この名曲を是非聴き比べてみて下さい。

(まりちょ)