雅楽演奏者として知られる芝祐靖先生のオーケストラ作品集が発売になりました。芝先生は800年続く楽家の生まれです。西洋音楽との接点はどこにあったのか?と不思議に思われると思います。
芝先生によれば、宮内庁楽部に勤めておられた父上は、家では一切雅楽の演奏はしなかったと言いますし、家庭で響いた音色はもっぱら兄上のヴァイオリンと母上のピアノによるベートーヴェンやモーツアルトだったと言います。
さらにはじめて作曲したオーケストラ作品が、現天皇皇后両陛下の御成婚をお祝いした「御成婚祝典序曲」(1959年作曲)だったというのですから、「へええっ!!」と驚かざるを得ません。
こうした作品の背景については、芝先生ご自身が記したとても興味深い文章がブックレットに掲載されておりますので、音楽と共に併せてお楽しみいただきたいと思います。
芝先生の音楽の魅力について、寺内直子先生は次のようなコメントを寄せて下さいました。
芝師の活動をよく知る人にとって、西洋オーケストラ作品ばかりを収めたこのCD「芝祐靖の音楽 オーケストラ作品集 幻遙」は少し意外だろう。しかし、雅楽の制度史と芝家の歴史を振り返れば、これらの作品が歴史の必然によって導き出されたことが理解できる。(中略)
芝祐靖師のオーケストラのための作品数はそれほど多くない。しかし、これらもまたまぎれもなく「芝祐靖」という音風景の一部である。東西の音世界を自在に行き来する芝祐靖師のオーケストラ作品は、時に雅楽の「隠し味」を忍ばせつつ、私たちを新たな「発見」へと誘っている。
− 寺内直子(雅楽研究家・神戸大学教授)ライナーノーツより−
じゃぽ音っと作品情報:芝 祐靖の音楽 オーケストラ作品集 幻遙(げんよう) / オーケストラ・アンサンブル金沢(指揮:十束尚宏)
執筆者: 「東西の響き」寺内直子(雅楽研究家・神戸大学教授)
「曲目解説」「楽家に生きる」芝祐靖
●英文解説付。ブックレット本文40頁。
【商品番号】 VZCG-806 【価格】 ¥3000 +税
【収録曲目】
1. 御成婚祝典序曲 ― 皇太子殿下美智子妃殿下御成婚祝典序曲 ― (1959年作曲)
2. 親愛 ― 晩餐会入場音楽 ― (1983年作曲)
3. 皇室讃頌の音楽 (1985年作曲)
4. 早春 ― 香淳皇后八十賀奉祝曲 ― (1983年作曲)
5. 香淳皇后御歌 (1968年作曲)
6. 銀婚の賦 ― 皇太子同妃両殿下御結婚満25年奉祝曲 ― (1984年作曲)
7. 更衣幻想曲 ― 晩餐会奏楽曲 ― (1961年作曲)
8. 慶翔楽 ― 昭和天皇香淳皇后御結婚満60年奉祝曲 ― (1984年作曲)
9. 太平楽 ― 晩餐会奏楽曲 ― (1984年作曲)
10. 高天原とよみ 1章 天鈿女命乱舞 (1961年作曲)
11. 高天原とよみ 2章 松明残燈 (1961年作曲)
【演奏】
オーケストラ・アンサンブル金沢/指揮 十束尚宏
アルト 小川明子/ハープ 篠粼史子/龍笛・和琴 芝 祐靖/鞨鼓 宮丸直子、
アルトサクソフォン 井上麻子/笙 宮田まゆみ
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(やちゃ坊)