日本の伝統的な音感覚や美意識を現代的な方法で表現して世界的な評価を獲得した作曲家・佐藤聰明(さとう そうめい)さんの公開講義があります。
日時:2010年10月22日(金)17:10〜19:00
場所:東京音楽大学 本館 A-100
聴講自由、入場無料、事前の申込み不要、とのこと。佐藤聰明さんのレクチャーは海外では音楽祭での特集時に行なわれる例もあるようですが、日本国内では大変珍しい機会だと思います。
詳しいお問い合わせは、東京音楽大学演奏課まで。電話: 03-3982-2496
佐藤聰明さんの著書『耳を啓く』(春秋社)。装幀はアジアの図像世界と宇宙観に鋭い洞察を発揮される杉浦康平さん。本書には、旧知の仲である杉浦さんと佐藤聰明さんとの対話「光を聴く」も収録されています。
目次:耳を啓く/わたりくるもの/ときをきく/作曲家という日本人/出会いの風景/風土と音楽/言葉と歌/坐るということ/魂の器/シュメール/沈黙の彼岸より/ローザと武満/夢の鏡/死の音楽/神を呼ぶ声/光を聴く―対話・杉浦康平+佐藤聰明
邦楽を習う上で上手をめざすことが、行じることと同義と考えられるのは、邦楽の特殊な精神性を窺わせるが、名人の演奏を聴いて私達が感動するのは、彼の美声やいわゆる名人芸ではない。そこに何ものかが化現するのを聴くからである。 ――「ときをきく」より
例えば消えさる音に耳を澄ます。
音は沈黙の大海(おおわだ)に飛び行きて、音のない「間」が生じる。この「間」は単に非物質的な力学で緊張した空間ではない。私達がそこに厖大な音が流転する無限の空間を、無数の時が生死する永劫の刹那を聴くのである。
(堀内)
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