先日、歌と踊りの古式を残した芸能とその反映を留めた狂言の公演を観たばかりですが、来年1月から、そのものずばり「能・狂言に潜む中世人(ちゅうせいびと)の精神」という連続公演が横浜能楽堂で開催されます。◆
世阿弥が、現代につながる能の骨格を作り上げた中世は、和歌、華道、仏教、神道など、精神性を重んじる日本文化の特質が育まれた時代です。能は、これらの文化と共鳴しながら芸術性を高めて行きました。今回の公演では、「歌」「神道」「仏教」「花」をテーマに各界の第一人者による講演を聴いていただいた後、それぞれの精神性が投影された曲を上演します。金剛流では約100年ぶりに復曲しての上演となる「花軍」をはじめ、毎回、見どころ聞きどころ満載の公演。これを機会に、あらためて中世人の精神に触れてみませんか。
第1回「歌」
平成23年1月8日(土) 14:00開演 13:00開場
講演 馬場あき子(歌人)
第2回「神道」
平成23年1月29日(土) 14:00開演 13:00開場
講演 花山院弘匡(春日大社宮司)
横浜能楽堂(公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団)は、平成8年の開館以来、斬新な企画や試みを通じて、多くの人々から関心を集めています。平成20年度文化庁芸術祭優秀賞(「武家の狂言 町衆の狂言」)のほか、源氏物語千年紀に関連した企画公演、新港海上でのあかりアーツプロジェクトなども高い評価を得ています。その優れた企画力の中心となっているのが副館長の中村雅之(なかむら まさゆき)さんです。
伝統芸能をプロデュースするという発想に新機軸・横浜能楽堂の企画力
(国際交流基金 The Japan Foundation ホームページ「プレゼンター・インタビュー」)
また、中村さんは邦楽全般のわかりやすい入門書を二冊執筆されており、両方ともおすすめです。『古典芸能てんこ盛り』、『英訳付き 1冊でわかる日本の古典芸能』(いずれも淡交社刊)。後者は日本語と英語が見開き左右対向ページに掲載されているので、勉強にも役立ちますし、海外の方へのプレゼントにも最適ですね。『古典芸能てんこ盛り』の安西水丸さんのイラストも素敵です。
(堀内)