じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

ほうき尺八と宇宙箏

和文化教育」第6回全国大会が10月30日と31日の2日間、東京都墨田区江戸東京博物館で開かれました。大会テーマは「日本の心の良さを受け継ぎ、世界に発展させよう」。1日目の開会式とシンポジウム「現代を潤す江戸文化の彩り」に行ってきました。
シンポジストは3名。滝口正哉氏(千代田区立四番町歴史民俗資料館)が江戸の年中行事や願掛けについて、市川寛明氏(江戸東京博物館)が大らかな江戸の寺子屋教育について、そして田中隆文氏(邦楽ジャーナル)が日本の音楽文化について発表し、最後に宗教学者和文化教育研究交流会会長の山折哲雄氏がコメンテーターとして締めくくりました。
邦楽ジャーナル編集長の田中氏は、持参した能管や尺八のほか、竹ぼうきで作った尺八や笛、ペットボトルのキャップで作った究極のミニ尺八(とてもいい音がしました!)まで、実演しながらの発表で、会場の興味をひいていました。尺八はシンプルな構造であるがゆえに楽器の可能性が無限で、それが今、世界から注目されているというお話は説得力のあるものでした。

会場のロビーには、宇宙飛行士の山崎直子さんがスペースシャトルに積んで行った「宇宙箏」が展示されていました。持ち込む荷物の制限がきびしいため、全長35センチ、幅13センチという特製の小さな箏ですが、伝統的な手法で作られた立派な楽器でした。弦は津軽三味線の糸を使い、調弦はネジでできるようになっています。宇宙でお箏を弾きたいという夢を叶えた山崎さんの強い気持ちが伝わってくるようでした。

宇宙箏については、以前、田中隆文氏が現代三味線音楽協会の会報に詳しく書かれています。こちらをご覧ください。→「宇宙に行った箏」

(Y)