じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「源氏物語絵巻」一挙公開中

東京の五島美術館(世田谷区上野毛)で開かれている、国宝「源氏物語絵巻」の展覧会に行ってきました。
源氏物語絵巻平安時代末期に制作された、現存するなかでは日本でもっとも古い絵巻物です。現在に伝わるのは全体の四分の一にあたる20段分(絵は19画面)で、すべて国宝に指定されています。
ふだんは五島美術館徳川美術館(愛知県)に分かれて所蔵されていますが、この展覧会はそのすべてを東京で一挙公開するというめったにない機会です。

「引き目、かぎ鼻」が源氏物語絵巻の特徴といいますが、本当にすっと引いた線だけで高貴な顔立ちを描きだしている技法に見入ってしまいました。笛や箏、琵琶などの楽器を奏でる公達や姫君の姿が描かれている場面もいくつかあって、優美な世界がしのばれます。
絵はかなり色が褪せているところもありましたが、復元模写が隣に展示されているため、衣服や調度などの詳細を想像することができます。詞書(ことばがき)のほうは800年も経っているとは思えない墨の色で、美しい筆跡をたどることができました。
公開は11月28日(日)まで。残り少ないので混雑が予想されますが、平日の午後遅めが比較的見やすそうです。
詳しくはこちらをどうぞ。待ち時間も表示されています。→五島美術館ホームページ

(Y)