じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

邦楽技能者オーディション 地歌箏曲 岡村慎太郎

今月末12月29日に、第11回邦楽技能者オーディション合格者CD「地歌箏曲 岡村慎太郎」が発売となります。収録曲は「四季の眺」「雲井の曲」「笹の露」。
CDの収録曲から1曲ご紹介。

草葉色づき 野菊も咲きて
秋深み
野辺の朝風 露身に沁みて
ちらりちらりと 村時雨
よしや濡るとも 紅葉葉の
染めかけたる面白さ。

野辺の通ひ路 人目も草も
冬枯れて
落葉しぐるる 木枯の風
峰の炭窯 煙も淋し
降る雪に
野路も山路も 白妙に
見渡したる面白さ。

収録曲「四季の眺」の歌詞の一部です。作曲は松浦検校(?〜1822)、作詞は大阪の両替商で、歌人の殿村平右衛門(1795〜1870)。春夏秋冬をうたった内容で、上記は、「秋」と「冬」。街で、草葉が色づいてくると、思い出してしまう語呂のよい歌詞です。殿村平右衛門が何歳で作詞したかわかりませんが、50歳だったら約160年ほど前ですね・・。「ちらりちらり」などの句は、当時モダンだったようです。
ところでこの曲、途中で転調があるのです。録音エンジニアHさんは、その部分がくると「ねぇ、ここきもちわるくない?」と問いかけてきます。マスタリングエンジニアのIさんからも、「いまのところ大丈夫?」と念押し。「いや〜、洋楽の人が聞いたらありえない転調だと思うよ」と再びHさん。そうなると急に気になり、そこで、居合わせた尺八奏者で五線譜に強い、がららさんにお尋ねしたところ、【陰音階で主となるキーの進行】C(はつねの)→〔4度下〕G(やまほととぎす)→〔4度上〕C(ひとこえに)→合の手〔4度上〕F→〔4度上〕B♭→〔4度下〕F→〔3度下〕D→〔4度上〕G→G(はなのなごり)※この間約1分間。邦楽で3度の進行はめずらしいということデス。
とにかく、レコードの回転がその部分だけ遅くなって、また戻った!みたいな感じです。その部分、実際の箏の演奏では、力いっぱい糸を押さないといけない音が使用されていて、押し切れなかった際には、余計わけがわからなくなります。それにしても、現代曲並み。作曲の方も、超モダンです。

さて、先日(12月6日)求道会館で藤井昭子さんの地歌ライブがあり、CDで「笹の露」を共演されたメンバーで「残月」が演奏されました。


左より 箏:岡村慎太郎さん 三弦:藤井昭子さん 尺八:青木彰時さん

そこで皆様にインタビュー。(※注 下記インタビューは、写真時のものではありません。)
── CD録音はいかがでしたか?
岡村:「疲れました。」
── マイブームはなんですか?
岡村:「それCDに関係ありますか?」
── ありません。
岡村:「ガムですね。ミントだったら、ストライド。味が長く続きます。」
── そうですか。では、地歌で好きな曲は?
岡村:「選べないですね。」
── ありがとうございました。それでは、青木彰時さんのマイブームはなんですか?
青木:「えっ、僕?コーヒー豆の入ったチョコ。冬季限定でおいしいです。」
── では、地歌で好きな曲は?
青木:「地歌では『萩の露』とか、『尾上の松』とか。古典本曲なら、『奥州薩慈』。超カッコイイです!」
── 好きなタレントさんは?
青木:「 ・・・・。キョンキョン、聖子ちゃん!」
── そうなのですね。
ちなみにわたしは、過日カラオケで歌った「制服」がノスタルジアを誘ったらしく、うけていました。個人的にイチ押しは「Only My Love」です。
── 藤井昭子さんの、好きな地歌の曲は何ですか?
藤井:「急に言われると、わからないですね・・。」
── たしかにそうですね。では、マイブームはなんですか? 
藤井:「まるさんというネコのブログです。」
── いやされそうですね!
以上、インタビューでした。CDと関係なくて、すみません。
第12回邦楽技能者オーディションの応募受付は、2011年1月11日(火)までです。
詳しくはHPをご覧ください。

(制作担当:うなぎ)