じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「箏曲地歌大系」を追加生産

箏曲地歌大系』は当初昭和62年(1987年)にビクターから「LPレコード60枚組」で発売され、その後ビクターから一度CD化された後、当財団から再び200セット限定で2002年にCD版を復刻発売。税抜価格18万円という値段にも関わらず、収録音源の良さと監修者平野健次さんによる重厚な別冊解説本が魅力となって長らくご好評をいただき、今年(2010年)限定200セット分が完売いたしましたが、引き続き数多くのご要望の声が寄せられたことから、2010年12月に追加生産を行ないました。ただし今回の追加生産分には、限定200セット版に付属していた「オリジナル木製ラック[強化ガラス付き・組立式]」(上写真参照)は付属しておりませんので、あらかじめご了承ください。

以下のような、輸送用ダンボール箱に入ったかたちとなります。(スペーサーとは、隙間を埋めるための緩衝材のこと)

「じゃぽ音っと」内の『箏曲地歌大系』の紹介ページはこちらです→。吉川英史(きっかわ えいし)さん、岸辺成雄(きしべ しげお)さんのほか、人間国宝6名の皆様(上原真佐喜、菊原初子、島原帆山、富山清琴、宮城喜代子、米川文子)からの「推薦の辞」をご紹介しています。

別冊解説書には、平野健次さんが地歌箏曲220曲の解説を執筆。この「本」だけでも相当な値打ちがあります。

収録されている演奏者の顔ぶれも豪華。写真つきで紹介されている方々(助演の近親者や一門は除く)を、五十音順でご紹介。
孫子松鳳(あびこ しょうほう)、阿部桂子(あべ けいこ)、石井雅楽盈(いしい うたみつ)、市村綾能(いちむら あやの)、初世伊藤松超(いとう しょうちょう)、井上道子(いのうえ みちこ)、井野川幸次(いのかわ こうじ)、今井慶松(いまい けいしょう)、二世上原真佐喜(うえはら まさき)、上村和歌子(うえむら わかこ)、臼井親井(うすい ちかい)、太田里子(おおた さとこ)、太田雅拡(おおた まさひろ・がこう)、笠原古都(かさはら こと)、河田登宇(かわだ とう)、二世菊田歌雄(きくた うたお)、菊原琴治(きくはら ことじ)、菊原初子(きくはら はつこ)、菊伊都美津江(きくい とみつえ)、菊村寿(きくむら ひさ)、菊森線春(きくもり せんしゅん)、北川雅楽能(きたがわ うたの)、楠田典史(くすだ のりふみ)、初世越野栄松(こしの えいしょう)、小橋幹子(こばし みきこ)、小林玉枝(こばやし たまえ)、佐藤親貴(さとう ちかき)、鈴木清寿(すずき せいじゅ)、須山知行(すやま ちぎょう)、高野和之(たかの かずゆき)、初世高橋栄清(たかはし えいせい)、二世高橋栄清、高橋正子(たかはし まさこ)、竹村綾子(たけむら あやこ)、塚越清子(つかごし きよこ)、築山登美(つきやま とみ)、富崎春昇(とみざき しゅんしょう)、富崎美喜(とみざき みき)、富山清琴(とみやま せいきん)、鳥居登名美(とりい となみ)、中沢君栄(なかざわ きみえ)、中塩幸祐(なかしお こうゆう)、中島雅楽之都(なかしま うたしと)、中島靖子(なかしま やすこ)、中島警子(なかじま けいこ)、中田博之(なかだ ひろゆき)、中能島欣一(なかのしま きんいち)、中能島慶子(なかのしま けいこ)、野坂操寿(のさか そうじゅ)、萩原正吟(はぎわら せいぎん)、広岡柔甫(ひろおか じゅうほ)、福田栄香(ふくだ えいか)、福田富貴代(ふくだ ふきよ)、福智万寿栄(ふくち ますえ)、二世藤井折恵(ふじい おりえ)、藤井久仁江(ふじい くにえ)、二世藤井千代賀(ふじい ちよが)、藤本白韻(ふじもと はくいん)、三浦雅行(みうら まさゆき)、三品正保(みしな まさやす)、宮城道雄(みやぎ みちお)、宮城喜代子(みやぎ きよこ)、宮城数江(みやぎ かずえ)、室岡松孝(むろおか しょうこう)、矢木敬二(やぎ けいじ)、矢崎明子(やざき あきこ)、山勢松韻(やませ しょういん)、山勢司都子(やませ しずこ)、山田広代(やまだ ひろよ)、唯是震一(ゆいぜ しんいち)、横井みつゑ(よこい みつえ)、米川敏子(よねかわ としこ)、米川文子(よねかわ ふみこ)、米川文勝之(よねかわ ふみかつ)、米川文志津(よねかわ ふみしず)

次は尺八演奏者のご紹介。

二世青木鈴慕(あおき れいぼ)、三世荒木古童(あらき こどう)、初世池田静山(いけだ せいざん)、二世池田静山、二世川瀬順輔(かわせ じゅんすけ)、木村友斎(きむら ゆうさい)、初世小池玲山(こいけ れいざん)、島原帆山(しまばら はんざん)、関和童(せき わどう)、鳥居虚霧洞(とりい きょむどう)、初世納富寿童(のうとみ じゅどう)、納富治彦(のうとみ はるひこ)、正垣古真(まさがき こしん)、三熊孝次郎(みくま こうじろう)、山口五郎(やまぐち ごろう)、山本邦山(やまもと ほうざん)

この「本」の奥付。制作関係者の一覧です。

ビクター創業六十年記念『箏曲地歌大系』
昭和62年5月21日発売
30センチLP 60枚組
定価18万円


監修・解説  (C)平野健次
解説協力  久保田敏子、谷垣内和子
プロデューサー  波多一索、黒河内 茂
ディレクター  藤本 草
アシスタント・ディレクター  大野寿子
録音エンジニア  依田平三
題字  竹本津大夫
デザイン・装幀  青柳忠夫(ベル・エポック
解説書編集  岩本邦男、吉井頴子
印刷・製本  株式会社金羊社
写植  日本製版株式会社
製函  株式会社西沢平和堂
製作・発売  ビクター音楽産業株式会社

プロデューサーの波多一索(はた いっさく)さんは「ビクター伝統文化振興財団」として設立時の当財団の初代理事長で、黒河内茂(くろこうじ しげる)さんは二代目の理事長。そして本作のディレクターだった藤本が現在当財団の三代目理事長で、アシスタントを務めていた大野が現在当財団の制作部長です。

この「本」に掲載されている平野健次さんのプロフィールをご紹介します。

監修・解説者略歴   平野健次(ひらの けんじ)
昭和4年4月1日生まれ。東京大学文学部及び同大学院博士課程卒。国文学者として、邦楽詞章の文学的研究を行うとともに、その音楽学的研究にも従事。関西大学助教授・相愛女子大学講師等を経て、現在濁協大学教授。東京大学講師・東京芸術大学講師・新潟大学講師等も兼ねる。社団法人東洋音楽学会理事・日本歌謡学会理事。NHK邦楽オーディション・文化庁芸術祭等の審査員も勤めた。主著『箏曲地歌』(音楽之友社・共著)・『歌舞伎音楽』(同・同)等の他、『日本音楽・歌謡資料集』(勉誠社・共編)・『日本歌謡研究資料集成』(同・同)・『日本芸能セミナー箏三味線音楽』(白水社・監修)・『同文楽の音楽』(同・編集)など日本音楽・歌謡関係の資料集・講座・事典・レコード等の監修・編集多数。特に、三曲関係のレコードでは、『中能島欣一全集、古典篇・創作篇』(ビクター)を始め、上原真佐喜・菊原初子・米川文子・富山清琴・島原帆山などの他、荒木古童・福田栄香・吉田晴風・太田里子・阿部桂子・高橋栄清・米川敏子など、人間国宝及び同級の演奏家の個人全集のほとんどを監修。また、『上方の端歌』(ビクター)・『箏曲“段物・砧物”の研究』(CBSソニー)・『上方下座音楽集成』(ビクター)・『琵琶――その音楽の系譜』(コロムビア)・『胡弓――日本の擦弦楽器』(フォノグラム)・『長谷論議』(東芝EMI)を始め、その監修した日本音楽関係の特別企画物のレコード・アルバムの文化庁芸術祭入賞数は、十余を数える。なお、『現代の箏曲』・『箏曲の古典』・『地歌』・『尺八、古典/現代』・『現代の三弦』などビクターのベスト・シリーズの監修に当たる他、『三味線と箏の組歌――箏曲地歌研究I』(白水社)の著述や、『日本音楽事典』(平凡社)・『岩波講座・日本の音楽・アジアの音楽』などの監修・編集などにも当たっている。
なお、久保田敏子(くぼた さとこ、昭和17年11月18日生まれ。大阪府出身。相愛女子大学音楽学部及び同研究科卒。現在、龍谷大学助教授、相愛大学講師)、谷垣内和子(たにがいと かずこ、昭和31年3月23日生まれ。和歌山県出身。武蔵野音楽大学及び同大学院卒)は、いずれも平野のそれぞれの出身校への出講時の受講生。

平野さんの解説で、邦楽についてどれだけ多くのことを教えていただいたことか。その仕事を概観するホームページが「平野健次邦楽文庫」です。厖大なコンテンツのなかをしばし彷徨っている内に、あれもこれも、色々と聴いてみたくなるはずです。

(堀内)