じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

校歌斉唱

今年も秋に高校の同窓会がありました。地方の県立高校なのですが、東京同窓会というのがあって、毎年1回総会と懇親会を開いています。
昭和1ケタから平成1ケタ生まれまで、今年は約130名が集まりました。再会を喜んだり、初対面でも共通の話題でうちとけたり、故郷のなつかしい言葉も聞こえてきて、楽しいひとときをすごしました。
同窓生による講演やアトラクションなどいろいろありましたが、ハイライトはなんといっても締めくくりの校歌斉唱です。久しぶりに会った友人は、4番までフルコーラス歌ったのは卒業以来!と感激していました。同じ学校を出たというだけで、世代を超えてすぐに声をそろえて歌えるのは不思議なものですが、なかなかうれしい気分です。
母校の校歌は、シンプルながら厳かなところがあって気に入っているのですが、これを作曲したのが「故郷(ふるさと)」や「おぼろ月夜」「もみじ」などの作曲者、岡野禎一だと知ったのは、卒業してずいぶん経ってからのことです。
東京同窓会の先輩が丹念に調べたところ、岡野禎一は明治の末から昭和の初期にかけて、北海道から台湾まで数多くの校歌を作曲したということです。師範学校や女学校など旧制の学校がなくなって、歌われなくなった校歌も多いようです。
母校の校歌は大正15年に前身の旧制中学の校歌として作られたのですが、新制の高校になるときに受け継いで(共学になったので歌詞は少し変えて)、いまも後輩たちが歌っています。
ちなみに、中学の校歌の作曲者は信時潔(のぶとききよし)でした。どちらも日本音楽史に名を残す作曲家ですが、そんなことはまったく知らなくても、うちの学校の校歌が一番!と思って今でも旧友と一緒に歌えるのは幸せなことです。



「朧月夜」と「故郷」の入ったCD「日本叙情歌集」はこちら。じゃぽ音っと作品情報:日本叙情歌集 /  郡愛子、羽田健太郎



「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」はこちら。我が母校の校歌は入っていませんが、東京開成中学校校歌 と慶應義塾々歌が聞けます。じゃぽ音っと作品情報:SP音源復刻盤 信時潔作品集成(6枚組)

(Y)