じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

WEBマガジン“PingMag”

現在インターネットでの情報発信の主流はツイッターとなり、ブログやMIXI等は最盛期を過ぎて落ち着きを見せているようですが、数年前までは「ウェブ・マガジン」というものが結構沢山あったような気がします。そのなかでも、とびきり高いクオリティの記事と美しい写真で支持されていたのが、東京をベースに国内・国外に情報を発信していたオンライン・デザイン・マガジン「PingMag」()と、その姉妹サイトで、日本のモノづくりに焦点を当てた「PingMagMAKE」()でした。ほぼ2年前の2008年12月31日に惜しまれつつ休刊となりましたが今でも過去の記事を読むことができます。

エディターの多くが外国人だったこともあって(ただし「PingMagMAKE」は日本人の鈴木隆文氏が担当)、どの記事も新鮮な視点で、しかも丁寧な取材と編集が行なわれていて、私自身日本に暮らしていながら普段はなかなか気がつかない日本特有の発想や感覚、現代的な感性と伝統の智慧の融合、さらに新しいアートやデザインの胎動を教えてもらいました。しかし、なによりも有り難かったのは、どのエントリーからも感覚を研ぎ澄ませて生きるたくさんの人々の息吹を感じて、大きな刺激を受けたことです。翻訳スタッフも充実しており、全記事が英語・日本語のバイリンガルで読むことができたのも画期的(その手間を考えると頭が下がります)。おそらく海外の読者も、伝統と現代をミックスした日本のユニークな文化を興味深く感じ取っていたことでしょう。

こうしたウェブマガジンの存続が難しいのはインターネットで収益を得る態勢を整えるのが並大抵ではないことに加えて、スポンサーの有無という事情も関係ありそうですが、はたして「PingMag」に関してはどうだったのか・・・。

正月休みに「PingMag」と「PingMagMAKE」の過去のエントリーを読んで、また色々と刺激をもらいました。どのジャンルの記事も面白いのですが(やはりエディターの力でしょうね!)、ここでは日本の音・音楽に関連したエントリーをご紹介しましょう。とはいえ基本的にアヴァンギャルド指向の内容なので、読む前にはどうかくれぐれもご注意を!

「能について知っていますか?」 2007年9月21日
「ミヤ・マサオカ:レーザー琴のミュージック・エクスペリメント」 2007年1月11日
「花代:カラオケ、写真、そしてハンドバッグ」 2006年10月6日
「お経」 2005年6月27日
「ゆらぎの音、風鈴」 2007年7月26日
「太鼓の音、鳴り響く道を : 浅野太鼓」 2008年3月25日

次のようなエントリーも刺激的です。

「日本のパッケージ・デザイン#6:自然を模造する」 2008年2月18日
「日本のパッケージ・デザイン#7:パッケージの削減法日誌」 2008年7月18日

そして、私自身も軽い視覚障害があるので、こうした記事も面白く読みました。

「視覚障害者のためのアクセシビリティ」 2006年9月29日

昨年NHKの「新・日曜美術館」でも特集されていた画家・熊田千佳慕さん(1911〜2009)のインタヴュー。・・・本当に素晴らしい。憧れます・・・

「熊田千佳慕:97歳現役、植物画の巨匠」 2008年11月6日

(堀内)