じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

第7回東京邦楽コンクール

邦楽科のある音楽大学のなかでも洗足学園大学の活動はユニークなものが多く目をひきます。そのひとつが同大学内の現代邦楽研究所()が主催する東京邦楽コンクールです。2004年に第1回が開催され、その後第4回からジュニア部門も加えて、今年が第7回目。過去には海外からの応募者や受賞者も出て、邦楽を国際的な存在に広める契機ともなっています。伝統音楽の発展といったときに、関わっている分野によって、さまざまに違ったかたちが思い描かれるようにも思いますが、どんなに大切に保管していても、ときどき新鮮な風を入れないと傷みが生じてしまうのが世の道理。活性化と発展のために、こうしたコンクールの存在は、確実に一定の役割は果たしていると思います。そして継続によって、そこにはまた新たな価値が生まれていきます。

すでに昨年(2010年)10月15日に応募が締め切られ、11月の一次選考の結果、本選の舞台に登場する方々がこちらに発表されています(開催詳細情報)。→ 本選は下記の日時に公開で行なわれます。

【会場】 洗足学園音楽大学溝の口キャンパス・前田ホール
【日時】 2011年1月23日(日)
<第1部> 公開本選会
開場10:00 開演 10:30
ジュニア部門本選考演奏/一般部門本選考演奏
<第2部>
開場14:30 開演15:00
1. 第6回日本伝統文化振興財団賞(第1位)受賞者演奏:岩田卓也(尺八)──「竹の四季より春」 山本邦山 作曲
2. 審査結果発表・表彰式・審査員講評
3. 第1位受賞披露演奏 ジュニア部門/一般部門
【入場料】 1,000円(第1部、第2部共通チケット。どなたでもご入場いただけます。)

コンクールを聴く醍醐味というのは、とにかく出場者は数ヶ月の間、自分が演奏する曲と真剣に向き合って本番に臨むわけですから、専門家の評価はさておき、どの演奏も濃密なものとなる確率が高いこと。ちなみに私は昨年12月に日本現代音楽協会が隔年で開催している演奏コンクール「競楽(きょうがく)」()の本選を聴きに行きましたが(審査員の中には箏奏者で第19回朝日現代音楽賞受賞者である吉村七重さんも)、現代音楽がこんなに面白いとは!と目を瞠るほど、じつに魅力的な演奏をたっぷり聴くことができました。(演奏コンクール「競楽IX」ファイナリストの方々→

東京邦楽コンクールでは、審査員長を当財団理事長の藤本草が務めています。その他の審査員は、石垣清美(箏演奏家洗足学園音楽大学 現代邦楽コース教授)、西潟昭子(三味線演奏家洗足学園音楽大学 現代邦楽コース教授)、松尾祐孝(作曲家、洗足学園音楽大学 音楽・音響デザインコース教授)、三橋貴風(尺八演奏家洗足学園音楽大学 現代邦楽コース講師)といった錚々たる顔ぶれです。

表彰ではさまざまな賞が用意されていますが、当財団では、一般部門の一位入賞者に、日本伝統文化振興財団賞として賞金50万円と賞状を贈っています。また2007年の第4回コンクール以来、同コンクールの本選の模様を収録したDVDを制作・発売しています。→

録音が少ない隠れた名曲でも、このDVDでなら聴くことができるという曲もあります。今回の本選の模様もDVDを制作しますので、こちらもぜひご注目ください。

(堀内)