じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

大人になった虫捕り少年

先週のブログで紹介した(→◆)「地域伝統芸能まつり」(NHKホール)では、第2日に山本東次郎家による狂言六地蔵」がありました。東次郎さん演じる怪しげな仏師が登場して、きっとこうなるにちがいない!というお約束どおりの展開ながら、共演者が大まじめに舞台上を走り回るのに、客席は大喜びでした。なかでも17歳の山本凜太郎さんが舞台の端から端まで思いっきり走るのを、思わず目で追ってしまいました。
たまたま先月、2月15日の紀尾井ホール主催公演「江戸邦楽の風景 酒」にも狂言が出ていて、山本東次郎さんと則俊さんの楽しい「樋の酒」を拝見しました。
こちらは主人のいないあいだに二人の使用人がすっかり酔っぱらって歌い舞うという内容で、お芝居の面白さはいうまでもありませんが、小謡や小舞の声の魅力にあらためて心ひかれました。
紀尾井の公演では、東次郎さんは演じた後に徳丸吉彦さんとの対談があったのですが、趣味の蝶の話になった途端、うれしそうにつぎつぎとエピソードを披露されました。もっと伺いたいと思ったところで時間切れになってしまったので探してみたら、読売オンラインのサイトで「大人になった虫捕り少年」というシリーズをみつけました。東次郎さんは3回分の連載です。

http://otona.yomiuri.co.jp/mystyle/mushi/

・チョウが能舞台の英気を養う〜山本東次郎さん編(1)
・観察、採集、標本作りに明け暮れる〜山本東次郎さん編(2)
・おれにはチョウがあったなぁ〜山本東次郎さん編(3)

蝶との出会い、心ならずも遠ざかってまた再会、という長いつきあいが語られていて、お人柄がしのばれます。
山本東次郎家一門の熟達の技芸を収録したDVD(10枚組)もあります。


正面舞台固定映像と左右側面近接映像の2画面を自在に選べるマルチアングルで、東京で二番目に古い、由緒ある杉並能楽堂のたたずまいとともにたっぷりと楽しむことができます。
じゃぽ音っと作品情報:山本東次郎家の狂言(10枚組) /  山本東次郎、山本則直、山本則俊 ほか

(Y)