じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

芸術と生活

東日本大震災から二週間が経ちました。
この度、被害に遭われた皆様、被災者のご家族の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い、復興をお祈り申し上げます。

東京でも、中止となるイベントの知らせを聞いては、なにも考えることなく、演奏会や演劇を楽しめたのも、贅沢であったかと思い知らされます。電力の施設の事故で落ちつかない日々を送ることになっても、電力が足りなければ、こんなに暮らしが不便なのかと心の中で叫んでしまいます。文化や芸術が開花するのは世の中が安定しているからこそ、と考えてしまいます。
先日、BSジャパンで「遥かなる運慶の極彩空間〜今甦る東大寺大仏殿 幻の巨大仏像〜」という番組が放送されていました。戦国時代の戦乱の中で焼失してしまったが、実は奈良の大仏の周囲に、大仏とほぼ同じ大きさ、13mの彩色あざやかな四天王像が存在していたという内容で、その幻の巨大四天王像を、CG映像で再現するという番組でした。天才仏師・運慶ら、慶派仏師による作品だったそうですが、その映像を見て、世の中が不安定なときに生まれる芸術もあり、その屈指の名作に人々は祈り、気持ちに安定を求めていたのかなと感じました。
音楽も人の心に、安らぎや、力をあたえてくれるものだと信じたいです。弊財団で制作する、CDやDVD、企画するイベントも、誰かの、何らかの力になれば嬉しい事なのだと、改めて思います。
とても優しく、穏やかであった琴古流尺八奏者、山口五郎先生の「巣鶴鈴慕」。先生の音色は、こういう時に、心が安まるかもしれません。

「日本音楽の巨匠 琴古流尺八 ── 山口五郎」

なお、シリーズでブログを書かせていただいていた「テノール歌手 木下保先生のこと(3)」は次週にアップしたいと思います。

(制作担当:うなぎ)