じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

【5/31(9)】今藤長龍郎《長唄三味線方》 #charity531

歴代の日本伝統文化振興財団賞の全受賞者による5/31東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」の出演者の紹介するシリーズ。今回は第9回受賞者の今藤長龍郎(いまふじ・ちょうたつろう)さんをご紹介いたします。
1969年東京生まれ。父は長唄の今藤尚之、祖父は藤舎流笛方家元・藤舎秀蓬(とうしゃ・しゅうほう)、叔父が藤舎名生(とうしゃ・めいしょう──1989年の襲名前、ジャンルの垣根を超えた挑戦的活動を展開した藤舎推峰の名前でご記憶の方も多いかも)、母方の叔父が笛方の中川善雄という邦楽の家柄のご出身です。1985年に四世家元今藤長十郎より今藤長龍郎の名を許され、1991年東京藝術大学邦楽科を卒業。2003年には錦秋花形歌舞伎でタテ三味線をつとめます。2005年(平成17年)日本伝統文化振興財団賞を受賞。贈呈理由と芸歴はこちらにあります。→http://japan.japo-net.or.jp/cultivate/recipient/recipient_9.shtml

以来、国立劇場での公演や歌舞伎座紀尾井ホール公演、NHKへの出演など幅広くご活躍されています。現在は、長唄五韻会同人、現代邦楽作曲家連盟会員、創邦21同人。国立音楽大学非常勤講師。財団賞の贈賞理由のひとつだった、古典を現代に活かした新曲の創作でも実績を重ねています。代表作品に「赤穂の風」、「女を論ず」、「弧」、そして2009年の日本舞踊協会新作公演の「戀するフリ」など。器楽曲にはピアノを含む編成も作品もありますが、マル秘情報によれば、今藤長龍郎さんは幼い頃からピアノも学んでいてこちらのほうもラフマニノフの難曲をばりばり弾きこなす相当な腕前だとか・・・!


今藤長龍郎さんの財団賞受賞記念のCDはこちらです→じゃぽ音っと作品情報:第9回ビクター伝統文化振興財団賞「奨励賞」今藤長龍郎(長唄三味線方) /  今藤長龍郎


日本舞踊の花柳園喜輔(はなやぎ・そのきすけ)さんのホームページ「園喜輔の日本舞踊ワールドへようこそ」内で、長龍郎さんがお父様の今藤尚之さんと一緒に紀尾井ホール公演「日本の音楽と舞踊の魅力を探る Vol.4」出演されたときの模様が掲載されています。→ 「レクチュア「いきの美」その3」

荻江節のときは今藤尚之さんは荻江露喬(おぎえ・ろきょう)、長龍郎さんは荻江露伴(おぎえ・ろはん)というお名前です。荻江節は、長唄とは三味線の糸巻と撥が異なっていて、歌い方も浄瑠璃に近く情感に富んだ魅力があります。このレクチュアでは、まず最初にお二人が荻江節で「深川八景」を演奏。続いて、荻江節長唄の比較として、同じく深川を歌った長唄の「巽八景」を演奏。紀尾井ホールでは、こうした、邦楽の魅力を楽しむ企画公演が数多く行われています。

その紀尾井ホールで、来る5月31日、今藤長龍郎さんは当財団主催で行なうチャリティ公演の最後の演目「二人椀久」にご出演されます。この作品は、三味線も唄も最高難度の技巧と音楽性が求められる長唄きっての難曲であり、名曲の誉れ高いものです。上記の今藤長龍郎さんの財団賞受賞記念のCDにも収録されており、以下の面々による素晴らしい演奏が堪能できます。
唄:今藤尚之、今藤長一郎、今藤政貴、東音味見純/三味線:今藤長龍郎、松永忠一郎、今藤政十郎、松永和寿三郎/笛:中川善雄/小鼓:藤舎呂英、梅屋雅一、望月正浩/大鼓:望月太津之

なお、今藤長龍郎さんは、当財団から発売中の杵屋裕光さん(三味線)と杵屋利光さん(唄)による長唄CD『寶結』に収録された「二人椀久」でも、ワキとして見事な三味線を披露されています(→ HMVの試聴ページ)。本アルバムは、ここ数年の長唄の新作CDのなかでは最右翼の名盤だと思います。


東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」

開催意図、全演奏予定曲目はこちら→ 東日本大震災チャリティ公演〜日本伝統文化振興財団賞歴代受賞者による〜古典芸能の夕べ
【日時】平成23年5月31日(火) 午後6時開演(4時半開場)
【場所】紀尾井ホール(1階) 
【入場料】5,000円(全席自由)
この公演チケットで、第15回日本伝統文化振興財団賞贈呈式(午後5時開始)にもご入場いただけます。
【チケットお申し込み】日本伝統文化振興財団 電話:03-3222-4155(平日11:00〜18:00)
インターネット:じゃぽマガジン | 伝統芸能 観たい! 聴きたい!
紀尾井ホールチケットセンター 電話:03-3237-0061(平日・土曜10:00〜18:00)

(堀内)