じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

【5/31(14)】大和櫻笙《大和楽》 #charity531

歴代の日本伝統文化振興財団賞の全受賞者による5/31東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」の出演者を紹介するシリーズ。今日は昨年度、第14回受賞者の大和楽 三味線方、大和櫻笙(やまと・おうしょう)さんをご紹介いたします。
「大和楽三味線方として、近年とくにめざましい活躍を示している。古典を基盤とするすぐれた演奏成果と、新たな創作への取り組みに大きな期待が寄せられている」という贈呈理由と芸歴はこちらにあります。→http://japan.japo-net.or.jp/cultivate/recipient/recipient_14.shtml
大和楽といってもなじみのない方も多いかもしれませんね。日本舞踊の会に行くと、地方(じかた=伴奏音楽)としてよく演奏されていて、人気が高いことがわかります。
大和楽公式ホームページでは、「大和楽について」つぎのように説明されています。

「大和楽(やまとがく)」という響きから、飛鳥〜奈良時代の音楽や宮中に伝えられた雅楽などを連想される方が多いのではないでしょうか?実はそんなに古い時代の音楽ではなく、昭和に端を発したいわば新時代の音楽なのです。
(中略)
大和楽の創設者である大倉喜七郎男爵は、大正から昭和にかけて、「今までになかった全く新しい日本音楽」を創るために各界より超一流の名士を集めて新しい音楽を創作しました。大和楽は、大倉男爵によって「日本の伝統音楽のうちに秘められた精髄を取り出し、それに現代的な発声の衣を纏わせて人々に愛唱される曲の形式を創出しようと試みる楽派」と定義され、昭和8年に創設されたのです。
大倉男爵は大倉財閥のオーナーであり、大倉商事・ホテルオークラ・川奈ホテルなどの創設者です。大倉財閥を創始した父・喜八郎氏の影響もあって、美術や音楽をはじめとするあらゆる分野に精通していました。氏は大和楽の作詞・作曲・演奏のすべてをこなし、尺八とフルートの長所を併せ持った「オークラウロ」という吹奏楽器の考案・製作をも手がけました。大和楽は氏の存在なくしては語ることができません。
このようにして大和楽は、三味線音楽の長所に、西洋音楽の発声法やハーモニー(和声)・輪唱・ハミングなどの演奏法を採り入れ(現在は専ら女性が唄を担当しています)、全く新しい自由な形式を持った音楽としてその歴史をスタートさせたのです。それから約70年経った現在、大和楽は日本舞踊の会などでも頻繁に聴かれるようになりました。ごく限られた人たちの占有物だった大和楽は、誰もが楽しむことのできる音楽になったのです。その独特の響きはえもいわれぬ情感を湛え、現代の人々の耳にはむしろすがすがしく聴こえることでしょう。


昭和前期、新進の大和楽には地歌、清元、歌沢、長唄など邦楽の世界の名だたる演奏家をはじめ、團伊玖磨藤原義江・原信子など洋楽畑の音楽家、作詞家の西条八十長谷川時雨北原白秋など、錚々たるメンバーが参加しました。5月31日のチャリティ公演で演奏される「お祭り」も北原白秋の詞です。
大和櫻笙さんは1977年東京都生まれ。父は大和楽二代目家元の大和久満(長唄三味線方、芳村伊十七)さん。初舞台は2歳ですが、このころは三味線がひざの上に乗らなくて、横座りで弾いていたとか。16歳で長唄三味線の故・東音田島佳子さんに入門し、大きな影響を受けたそうです。

現在は舞踊公演の地方として出演するほか、藤間流八世宗家家元の藤間勘十郎さんと「櫻舟」を結成して新作を発表するなど、意欲的に活動しています。大和櫻笙さんの財団賞受賞記念のDVDにはご自身の作品が2曲収録されていて、藤間勘十郎さんも三味線で参加しています。この映像は貴重です。
素顔の櫻笙さんは、大好きなピンクの服やバッグを身につけて大型車を乗りまわすカワイくて元気いっぱいの女性。初めは舞台姿とのギャップに驚きましたが、好奇心があってとても勉強熱心で、今後の活躍が楽しみです。2014年に大和楽三代目家元を襲名することが決まっているそうです。
大和櫻笙さんの財団賞受賞記念のDVDはこちら。→じゃぽ音っと作品情報:第十四回日本伝統文化振興財団賞 大和櫻笙(大和楽三味線方) [日本伝統文化振興財団賞受賞制作DVD] /  大和櫻笙
5月31日のチャリティ公演では「お祭り」を演奏します。大和櫻笙さんから
「今の日本が少しでも元気になれるように!! と、大和楽の中でも一番賑やかな曲を選びました。…頑張れニッポン!!」
とメッセージをいただいています。


東日本大震災チャリティ公演「古典芸能の夕べ」

開催意図、全演奏予定曲目はこちら→ 東日本大震災チャリティ公演〜日本伝統文化振興財団賞歴代受賞者による〜古典芸能の夕べ
【日時】平成23年5月31日(火) 午後6時開演(4時半開場)
【場所】紀尾井ホール(1階) 
【入場料】5,000円(全席自由)
この公演チケットで、第15回日本伝統文化振興財団賞贈呈式(午後5時開始)にもご入場いただけます。
【チケットお申し込み】日本伝統文化振興財団 電話:03-3222-4155(平日11:00〜18:00)
インターネット:じゃぽマガジン | 伝統芸能 観たい! 聴きたい!
紀尾井ホールチケットセンター 電話:03-3237-0061(平日・土曜10:00〜18:00)

(Y)