じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

テノール歌手 木下先生(6)

テノール歌手 木下保先生(6)

しばらくおやすみしていた「テノール歌手 木下保先生」シリーズ、本日は第6回目です。

前回は4月29日に、オペラに挑戦する木下保先生をご紹介いたしました。本日は、いよいよ合唱指揮者の木下先生です。
木下先生は、慶應義塾ワグネル・ソサエィティー男声合唱団(1927年〜)、京都東本願寺大谷楽苑(1947年創設〜)、日本女子大学合唱団(1956年〜)、聖心女子大学グリークラブ(1956年〜)、CBC中部日本放送〕合唱団(1957年〜)、日本女子大学卒業生による桜楓合唱団(1964年創設〜)、慶應ワグネルOB合唱団ほか、多くの合唱団を指揮されました。カッコ内は指揮者に就任された年です。
CBC合唱団の定期演奏会は、1957年〜65年まで開催され、ラジオ、テレビ放送も多数されました。その中から、團伊玖磨「岬の墓」、萩原英彦「光る砂漠」、高田三郎「橋上の人」等の委嘱作品が生まれたそうです。「岬の墓」は、木下保指揮 CBC合唱団の演奏で、昭和38(1963)年度第18回芸術祭音楽部門(ラジオ部門)で芸術祭賞を受賞しました。喜びの受賞パーティの様子は、「木下保の芸術」CDの解説書25ページに掲載されています。
弊財団よりリリースされている《岬の墓》はこちら。

こちらは、辻正行氏が指揮するクロスロード・アカデミー・コーアによる演奏です。
慶應ワグネル・ソサエィティ合唱団とは、1969年、第2回世界大学合唱祭(リンカーンセンター)に参加するために、渡米しています。その演奏の様子も木下保CD解説書P26に写真を掲載しています!

日本女子大学合奏団の《落葉松》(からまつ)はこちら。

このCDに収録されている演奏は、木下保先生が指揮されています。こちらの録音は、1982年4月25日に上野学園石橋メモリアルホールで録音されましたが、この年の11月11日に木下先生は亡くなられたので、最後のレコーディングとなりました。
木下先生の合唱指導は、とても厳しかったそうです。「のだめカンタービレ」で言うと、千秋先輩みたいな感じ?でしょうか。プロ・アマチュアの区別なく、生半可なことは許されなかった、、とか。
このレコーディングは、弊財団理事長の藤本がディレクターでした。また、この曲《落葉松》の作詞者、野上彰氏は、藤本理事長のお父様です。
他にも《落葉松》を収録したDVDがあります。こちらは作曲された小林秀雄先生ご自身が、ピアノを演奏されています。

ところで皆さま、「海道東征」という曲をご存知ですか?
次回は、

神坐しき、蒼空と共に高く、
み身坐しき、皇祖。
遙かなり我が中空、
窮み無し皇産霊、
いざ仰げ世のことごと、
天なるや崇きみ生を。

という歌詞ではじまるこの曲を指揮した、木下先生です。

(制作担当:うなぎ)