じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

文楽公演、次回こそ

先月、文楽の東京公演で襲名披露がありました。文楽では珍しいので伺いたかったのですが、残念ながら機会を逃してしまいました。
人間国宝竹本綱大夫さんが九代目竹本源大夫を、長男で三味線の鶴澤清二郎さんが二代目鶴澤藤蔵を襲名するという、親子二代のダブル襲名です。それぞれの祖父の名跡を継ぐことになるそうで、四代にわたって大夫と三味線の芸を交互に伝える家系というのは、本来世襲制ではない文楽では稀なことのようです。
公演に行った知人から、襲名の口上も演目もとてもよかったよ!と聞いて、伺えなかったのがますます惜しくなりました。

文楽の次の東京公演は9月です。能楽の「翁」から移された「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」が上演されますが、「国立劇場開場四十五周年を寿ぐとともに、この度の東日本大震災で被災された地域の皆様の復興を祈念して」ということです。ほかにも楽しみな演目ばかりで、今度こそ出かけたいと今から思っています。
こちらに詳細が出ています。→http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2011/349.html?lan=j
襲名公演では文楽の大夫のもう一人の人間国宝竹本住大夫さんも出演していて口上を述べたそうです。当財団から住大夫さんのDVDが出ていますのでご紹介しましょう。
親子の情愛と切ない別れを描いた、伊賀越道中双六から「沼津の段」のライブ版です。

 浄瑠璃竹本住大夫
 三味線:野澤錦糸
 ツレ・胡弓:鶴澤清志郎

2006年から3年にわたって紀尾井小ホール(東京)で催された住大夫師の素浄瑠璃文楽の人形がつかない義太夫節だけの演奏)の会「住大夫三夜」の第三夜(2008年5月28日)のライブ映像。文楽の最高峰による迫力あふれる語りがたっぷりと味わえます。
特典映像として、当日舞台で行われた山川静夫さん(古典芸能評論家)との対談も収められています。興味深い芸談とともに住大夫師の素顔を垣間見ることができます。
詞章の字幕付きで、付属の解説冊子には英文解説もついています。詳細はホームページをご覧ください。じゃぽ音っと作品情報:竹本住大夫 伊賀越道中双六「沼津の段」 /  竹本住大夫

(Y)