じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

福田栄香さんの「新青柳」

東京も7月9日に梅雨が明けました。平年よりすいぶん早いそうで、今年も暑く長い夏になるのでしょうか?

7月8日、練馬文化センター 小ホールの「演奏・トーク・朗読による 福田栄香アンサンブル〜美しき日本の音」に行ってきました。
「福田栄香アンサンブル」は、福田栄香さんを中心とした邦楽器(箏・三味線・尺八)による日本伝統音楽の演奏グループで、1999年から国内外で活動を続けています。

福田栄香さんが襲名前の千栄子さんの名前で出されたアルバムはこちらです。
じゃぽ音っと作品情報:秋風の曲/福田千栄子 /  福田千栄子
栄香さんの地元である東京の練馬での公演は今年で5年目になりますが、毎回、箏・三弦(三味線)の演奏に加えてご本人のトークによる進行が特長です。「邦楽の普及を目的とし、多くの方々に日本の伝統音楽を楽しみ理解して頂く為に、演出や構成に工夫を凝らしている」ということです。
今年は源氏物語を題材とした「新青柳(しんあおやぎ)」に朗読を交えるという福田さんならではの新しい試みがありました。源氏物語の登場人物、柏木に焦点をあてたストーリーをはさみながらの演奏で、朗読、三弦の演奏、歌と一人三役の大活躍でした。その場面や心情が浮かび上がってくるような興味深い演出で、そういえばここの場面、源氏物語マンガの名作「あさきゆめみし」ではどう描いていたかしら?と読み直してみたくなりました。
この日の「新青柳」でもう一つ特筆すべきは、箏、三弦、胡弓という、三曲合奏の本来の姿による演奏だったことです。胡弓に高橋翠秋さんを迎えて、源氏物語の雅なシーンと柏木の悲しい恋の結末がより効果的に表現されたように感じました。
このシリーズ恒例の楽器紹介も、胡弓にはお客さんたちも興味津々の様子で、翠秋さんの楽器や奏法の説明に耳を傾けていました。

「演奏・トーク・朗読による 福田栄香アンサンブル〜美しき日本の音」プログラム

1.秋の言の葉
  歌・箏替手:福田栄香 箏本手:大嶋敦子

2.都山流本曲 峰の月
  尺八:川村葵山

3.黒髪
  歌・三弦:福田栄香 胡弓:高橋翠

4.源氏物語より「新青柳」
  歌・三弦・朗読:福田栄香 箏:大嶋敦子 胡弓:高橋翠

5.春の海
  箏:福田栄香 尺八:川村葵山

先週のブログでも紹介しましたが、7月は初心者や学生向けの邦楽演奏会がいくつかあります。→演奏会シーズン? - じゃぽブログ
暑い日にはちょっと日常を離れて、邦楽の演奏会に出かけてみてはいかがでしょう。

(Y)