じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「星と輝き花と咲き」

なでしこジャパンサッカー女子ワールドカップ勝戦のキックオフまで、あと数時間となりました。頂点をめざして、思いっきり輝いてほしいと願っています。
サッカーといえばずっと男子のスポーツでしたから、女子サッカーがここまで実力をつけて話題になり、日本をあげて応援する日がくるとは思いもよりませんでした。そういえばマラソンも昔は男子だけの競技でした。いまでは女子マラソンのほうが注目され、オリンピックでもよい成績をあげているのですから、世の中はどんどん変わってきているということですね。

それで思い浮かべたのが女流義太夫です。
文楽の世界では太夫、三味線、人形遣いの3つ役割がいずれも男性によると決まっていますが、人形のつかない素浄瑠璃の世界では、女性の演奏家が活躍しています。
女流義太夫の始まりは江戸時代末期だそうで、文楽とは別の歴史をたどってきましたが、もともと男性のものであった義太夫を女性が語る、というところに面白さがあったのかもしれません。

明治時代には学生たちが娘義太夫に夢中になって、おっかけやファンクラブまでできたほどの人気だったそうです。直木賞作家の松井今朝子さんの小説「星と輝き花と咲き」は、そのなかでも人気実力ともにナンバーワンだった元祖アイドル、竹本綾之助の華やかな活躍をたどったもので、一気に読みました。義太夫を知らなくても、近代史小説として、また女性の爽快な半生記としても面白いと思います。→http://www.bookclub.kodansha.co.jp/100/past/matsui_index.html
今日では女流義太夫の竹本駒之助さんが人間国宝に認定されていて、義太夫の世界では最高峰の一人といわれています。このブログでも以前ご紹介しましたので、詳しくはこちらをどうぞ。→女流義太夫の魅力をTVで! - じゃぽブログ

それでは、なでしこジャパンの健闘を祈りつつ!

(Y)