すっかり7月もあと1日を残すのみとなりました。季節的には「花火」の時期でしょうか。箏曲でしたら、宮城道雄作曲の《線香花火》という曲は、とてもかわいらしい曲で、本当に線香花火で遊んでいる気分になります。是非お聞きになってみてください。
あとは、商品検索でヒットしたのは、「ドドンパ!花火太鼓」こちらは、平多正於舞踊研究所監修による保育教材です。いまの季節にぴったりです。
それから、7月15日のブログでご紹介した山本真山さんのCDの2曲目《光露》は、夏の夜を彩る花火をイメージして作曲された曲です。こちらは幻想的です!
ところで山本真山さんのCDを紹介したとき、5個の穴しかあいていない尺八の音色が奇跡的かも!?と感想を述べたのですが、前から密かにすごいかも、と思っていたものが他にもありまして、それが「和歌」です・・・非常に地味なのですが。
それで、ここからはシリーズでお伝えしている「テノール歌手 木下保先生」の第9回目です。
「木下 保の藝術〜信時潔、團伊玖磨 歌曲集〜」を本年3月にリリースしてから、木下 保先生の功績を少しずつご紹介しているのですが、今日は、『やまとことばを美しく』という先生の取り組みです。早くから日本に、ドイツリートを紹介し続けていた間にも、「日本歌曲の研究を、腰をすえてやろう」と決めていた木下先生。「外国に行ったとき、日本語の歌を歌えといわれ、日本人はやっぱり日本語がうまくなければダメだ」と思ったそうです。
木下先生の取り組みは、「やまとことばを美しく」という公開レッスンが行われることで、多くの参加者に感銘をあたえることとなりました。
「万葉語では現代語よりもっとテンポはゆっくりと、その音色はやや暗く深めにとることと、まろやかな発音がたいせつ。言葉を明瞭に発音するためには、とくに<カ行><ハ行><サ行>の子音をたっぷりとること。」「詩の文字を読むな“心”を読みなさい。」
といった指示がなされ、受講者にとっては興味深い内容だったようです。
CDをお聞きいただければと思うのですが、蒲原有明、與謝野 寛(与謝野鉄幹)、北原白秋など、詩の心が伝わってきます。実際、CD制作中に、木下先生の三女、増山歌子様と、北原白秋の詩にはまってしまったという次第です。また、長女で声楽家の坂上昌子様は、「日本歌曲における“やまとことば”の歌唱法と発声法」を研究されています。また次女の平尾育子様にも制作中は大変お世話になりました。
と・・・・また本題に入れず次回ですね。ひそかにすごいと思っている「和歌」と、木下先生の名唱『沙羅』に迫ります。木下保先生シリーズは、まだまだ続きます・・。
参考:『わたしたちの音楽』東京音楽研究会会報 1968年4月18日
(制作担当:うなぎ)