じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

和歌すごい。

先週のブログ、テノール歌手 木下保先生シリーズ9回目、「やまとことばを美しく」でたどり着いた、やまとことばのすばらしさ。木下先生は必ずしも、やまとことば=和歌ということではなく、日本の言葉をうつくしくというご指導だったようですが、それとは別にして、私としては密かに昔から、和歌はすごいな〜と思っていました。

「あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」
これは、万葉集に収められている額田王の歌です。リズム感のある歌の中に、どんな思いと、駆け引きが潜んでいるのか、1200年以上前のことでいまや誰もわからないのでしょうけれども、なんとなく想像できるのが楽しいです。

「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
こちらの歌も、ご存知の小野小町です。「はな→花、自身の身」「うつる→色あせる、容色が失われる」「よ→世代、男女の仲」「ふる→雨が降る、歳をとる」「ながめ→物思いに耽る、長雨」とたくさんの修辞法(歌枕、序詞、縁語などの技法)を使用し、短い言葉で人生が集約されているような・・。いまやすっかり共感できますね。(自分は花というところは除いて・・) 弊財団より百人一首のCDでています。
純邦楽の中でも、和歌を用いた曲は多くありますが、地歌では、石川勾当の難曲「八重衣」は、小倉百人一首より「衣」にちなんだ歌が歌詞となっています。
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ
春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山
君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ
きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む
み吉野の山の秋風さよ更けて ふるさと寒く衣打つなり
「衣」と言ってもいろいろな情景がありますね。地歌「八重衣」収録のこちらのCDは、三弦の合奏による演奏です。

余談ですが、弊財団のAさんは、ひとつのお題で瞬時にすばらしい掛詞(ギャグ?)を披露されます。ある時は、ひとつの文章に3回掛詞が入っていたので感動したのですが、残念ながら書きとめていなかったので、忘れてしまいました。
バリ出張の話しになった時、「携帯の電波がわるくて・・」という話の合いの手に、「デンパサ〜ル」とつぶやいていらっしゃいました。(バリ州の州都と「電波が去る」が掛かっている模様・・・・。さすが落研出身!)当財団からは、落語のCDもたくさん出ています。
暑さもまだまだ続いておりますので、涼しさをもとめて幽霊の出てくるお話でもいかがでしょう?

「幽霊の手持ち無沙汰や枯れ柳」
川柳もいいですね。

(制作担当:うなぎ)