じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

肥後の琵琶弾き 山鹿良之 その3

先日よりご紹介している、CD「肥後の琵琶弾き 山鹿良之の世界〜語りと神事〜」の3回目です。

熊本県玉名郡南関町出身で、肥後琵琶の演奏者、山鹿良之(やましかよしゆき、芸名 玉川教演1901〜96)の代表曲集です。主に九州の中部で活躍した山鹿師は、民族芸能関係者にはその名を知られていましたが、代表的レパートリーである「くずれ」「説教物」と呼ばれる長編物は、CDでリリースされていませんでした。本CDは2007年に発売されましたが、先回ご紹介した、オーストラリアのヒュー・デフェランティさん、山鹿市の木村理郎さん、他皆さんの山鹿さんへの「熱い思い」で実現したCDです。
木村さんは、お父様がすでに山鹿さんの伝承芸について調査されていた関係で、一時期は山鹿さんの公演に同行し、お手伝いされていたとのことです。東京でも国立劇場や、1989年には上野で公演されたそうです。山鹿さんの話される熊本弁が東京の方にわかりづらかったそうで、木村さんが説明されていたそうです。
また熊本の南関にある自宅にも、全国から何千という来訪者があり、演奏を聞いて楽しまれたとのこと。その名声はジャパンタイムズニューヨークタイムズにも紹介されました。
山鹿師の使用していた楽器をご紹介します。
特徴としては、少し小振りで胴の幅が狭く、厚みのある笹琵琶系統で、フクジュの裏側に竹さわりという薄い竹の板を糸との間にはさみ、ネコアシと呼ぶつんばりで腹板との間を支えていることも楽器の特徴とのことです。
糸は、義太夫三味線の一の糸と二の糸を一と二に張り、三味線の二の糸を三と四に使う人が多かったということです。撥は厚みがあり、重く、握るところが太く先が鋭くないものを使用していたそうです。

竹ざわりを調整している山鹿師

それでは、また次回に続きます。(→ その4
(写真:ヒュー・デフェランティさん所蔵)

(制作担当:うなぎ)