じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

日本美術の1万年・魂の縄文 土偶

本日9月5日(月)、NHKBSプレミアムで新しいアート番組「日本美術の1万年」がスタートします。キャッチ・コピーは、「日本美術は見るだけではわからない! 感じ・作り・使うワークショップを通じ、体で迫る画期的な美術歴史番組!」。NHK BSプレミアム『日本美術の1万年〜魂の縄文アート 土偶〜』 (詳細情報はこちら→ NHKBSオンライン「美術ジャンル」サイト。この番組の紹介コーナーで番組内容の紹介動画を見ることができます。)

日本美術が、芸術に特別な関心のある層ばかりでなく一般にも幅広い注目を集め始めるようになったのは、私の印象では、それほど昔のことではないように思います。1996年に美術評論家山下裕二さんと美術家・作家の赤瀬川原平さんが立ち上げた(?)「日本美術応援団」が、私にとっては、そのひとつのきっかけになっていました。2000年に刊行された『日本美術応援団』(日経BP社)はすぐに購入して、それからは「日本美術をこんなに自由に見てもいいのか」と背中を押されるようにして、随分積極的に見るようになりました。

しかし今回の番組のテーマとなっている、触ったり作ったりという観点から美術を理解する経路は、美術館などのワークショップに参加しないことにはなかなか体験できないことです。分野によっては、そもそも体験不可能なこともあるでしょうし。龍安寺の石庭の石を、自分の思うように配置してみたらどうなるか、とか・・・ 妙な話で脱線しました。(^_^;)

NHK BSプレミアム『日本美術の1万年〜魂の縄文アート 土偶〜』
【放送日】 2011年9月5日(月) 午後9時〜9時57分
【再放送】 2011年9月11日(日) 午後1時〜1時57分

【再放送NHKワールドプレミアム)】 2011年9月9日(金) 午前10時50分〜11時47分

以下は番組紹介ページから。

およそ1万年前、日本の歴史上初めて作られた美術の一つが土偶。不思議な姿から宇宙人説、女神説、お守り説などが唱えられてきた。そんな土偶の謎と美の秘密に、俳優の渡辺篤史さんと助産師の矢島床子さんが迫る。実際に土偶を触り、作り、使いながら、土偶を生み出した縄文人の祈りを体感する。X線撮影で分かった高度な製作技術、炎の中で色を次々と変える驚きの誕生の瞬間、想像を絶する使われ方など、縄文の神秘が明かされる。
【ゲスト】渡辺篤史(俳優)、矢島床子(助産婦)、猪風来(縄文造形作家)、小林達雄(縄文学)  【語り】余貴美子麿赤兒


昨年の冬、上野で「土偶展」が開催され、その前2009年にはロンドンでも開催され話題を集めました()。しかし今度の番組はすごいです、面白い。土偶をただ見たり、観察したりするだけでなく、実際に土偶をつくってみようという番組のようです! 猪風来(いふうらい)さんは縄文土器を造るアーティスト(こちらが猪風来美術館ホームページ)で、今年の夏には那須高原で土取利行さんの縄文鼓と共演されています。土取さんが演奏する脇で、猪風来さんが土偶を制作するという濃密な時空を現出させるパフォーマンスでした。(土取さんのブログ「音楽略記」にその時の模様が紹介されています。→ 「山のシューレ」結び舞台で生まれた縄文土偶

この番組の音楽も土取さんが担当されていますが、今回土取さんはあえて縄文鼓など日本の縄文時代に関連する楽器は使わずに、アフリカの楽器と自身の声を使って音楽を作っているそうです。それらの音がどのように縄文土偶の世界を演出しているか、楽しみです。

この番組にも出演する小林達雄さんは日本の縄文学の泰斗で、國學院大學文学部名誉教授。土取利行さんが有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)を「太鼓」だと直観し、その研究と制作に10数年をかけて取り組んだ際は、プロジェクト全体の監修者として支援されていました。

土取利行さんと小林達雄さんの対談の動画です。


その成果である「縄文鼓(じょうもんこ)」の演奏記録は、当財団から復刻CDを発売しています。ぜひこちらのページをご覧ください。→ 「縄文鼓——大地の響震/土取利行」(VZCG-686)


このCDを収録したときの映像がYoutubeにアップされています。これは1990年8月20日八ヶ岳山麓の尖石・与助尾根広場での演奏の記録映像で、NHKからLD[レーザーディスク]として発売されましたが現在は廃盤です(*)。

【土取利行/縄文の音霊 演奏篇 Toshi Tsuchitori / Jomon part2】

(*) 「縄文の音霊(おとだま)/演奏・土取利行[縄文鼓・土笛] レーザーディスク1面 52分、ナレーション:ピーター・バラカン(VOLD-1029 / NHK VOOK -VISUAL BOOK、企画制作・発売:(c)NHKエンタープライズ、製作:ケイエスエス、販売元:ビジュアルブック社)

(堀内)