じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

肥後の琵琶弾き 山鹿良之 その4

先日よりご紹介している「じっちゃん」こと、山鹿良之師のCD、「肥後の琵琶弾き 山鹿良之の世界〜語りと神事〜」の4回目です。

本CDには、「ワタマシ」(熊本市立熊本博物館所蔵/1963年録音)、「道成寺」(兵藤裕己氏所蔵/1989年録音)、「菊池くずれ」(RKK熊本放送 1974年録音)、「あぜかけ姫」(野村眞智子氏所蔵/1970年録音)、「インストルメンタル」(RKK熊本放送/1974年録音)が、収録されています。

先回は、楽器のことを少し紹介しましたが、今回は演奏内容をご紹介します。詳しくはヒュー・デフェランティ氏と、木村理郎氏による解説がCDにありますのでご覧ください。本日は、そこから一部ご紹介します。

山鹿師は、自分の演じるものは「音楽」ではなく、あくまでも「語り」であるとおっしゃっていたそうですが、もちろん師の語りには、「声」と「琵琶」という音楽的要素が含まれており、そして語りに生色を与えるために、多彩な「手」と「フシ(節)」と呼ばれる琵琶の奏法を駆使していたそうです。
琵琶の「手」としては、語りのフレーズ一つ一つの間に弾かれる単一の音、また曲の頭や語りのエピソードを区別させるための旋律的な琵琶の手などがあります。この旋律的な琵琶の手は、私がイメージすると、昔ドリフターズの「8時だョ!全員集合」の前半コントで、盆が回るときに流れる音楽・・のような感じ!?です。そう、区切りを示すようなイメージです。(古すぎてわからない・・でしょうか!?)
声の「フシ(節)」としては、メロディを伴う唄、はっきりしたピッチを持つ語り、そしてピッチのない劇的な声などです。それぞれの節は、物語の内容や特定の箇所で、定型の働きをしていて、山鹿師の演奏では、「コトバ、セリフ、ノリ、ウレイ、ナガシ、オクリ、キリブシ」の7つのフシのタイプがあるそうです。
(左写真:ヒュー・デフェランティ氏所蔵)
これらのフシは、先日8月19日でもご紹介しましたが、兵藤裕己氏による解説で、「道成寺」の歌詞を見ながらお聞きいただくと、おわかりいただけるようになっています。是非CDをお聞きになってみてください。

さらには、兵頭裕己氏による著書「琵琶法師」─〈異界〉を語る人々(岩波新書)では、山鹿さんの映像DVDも付いています!

次回、つづきます。(→ その5

(制作担当:うなぎ)