じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

柳川三味線をご紹介します

さて本日は、「うなぎドイツへ行く どたばた旅日記」は1回お休みして、柳川三味線をご紹介します。

先週のどたばた日記(4)で、地歌三味線の「胴掛け」をベッドの隅間に落としたうなぎは、その後、柳川三味線は「胴掛け」を使用しないのだと知り、「慌てなくてもよかったのだ」と、開き直ったのでした・・・?
本日は、11月2日に発売予定のCD「第12回邦楽技能者オーディション 柳川三味線 林 美音子」をご紹介します。

邦楽技能者オーディションは、日本伝統芸能の古典の伝承・継承に取り組んでいる若い方に、CD制作の機会を提供する目的で、弊財団の事業として、平成11年度から新設された制度です。来年度(第13回)の募集は、11月上旬にスタートいたします。詳しくはHPをご覧ください。ご応募をお待ちしております。

「柳川流」(やながわりゅう)というのは、純邦楽ファンの方でもあまり聞きなれないでしょうか。地歌の中でも最古の流派で、現在は京都でしか伝承されていないのだそうです。
柳川流の流祖は、三味線を開発し、「三味線組歌」を作曲したとされている石村検校(?〜1642)の孫弟子の柳川検校(?〜1680)ということです。その後は、柳川検校のさらに孫弟子の野川検校が、大阪を中心に「野川流」を広めています。

地歌の三味線は、義太夫長唄常磐津、清元、端唄・・と数ある三味線の中でも、最初に誕生した三味線とのことです。16世紀中頃、琉球から大阪に奏法の解らない三線(さんしん)がもたらされたのを、琵琶法師がいろいろ試みて、三味線の祖型を誕生させたということですが・・。この琵琶法師を受け継いだのが石村検校で、現在まで伝承されているということです。ところで、この琵琶法師の名前が、私と一緒!の文献もあるようです。ご先祖様でしょうか・・??(うなぎ法師ではありませんよ〜。)

話しはそれましたが、祖型に近い三味線が、「柳川味線」(やながわじゃみせん)で、別名「京三味線」(きょうじゃみせん)とも言います。
林さんからお写真をお借りできましたので、掲載します。
【上:柳川三味線 下:現行の地歌三味線】
地歌三味線に比べると、やや小振りで棹も細め

●胴には胴掛けを掛けず、肘を乗せる所に「手当たり」という金襴の小布を直張りする。根緒には房飾りを付ける。
●棹の付け根は、鳩の胸のように丸みを持っている。現行の棹はこれを改良して、胴のぎりぎりまで一直線。

●コマは「台広(だいびろ)」と呼ばれるとおり台が広め。底に金属を入れないので軽い。

●撥は象牙製で、楽琵琶の撥に近い小振り。ヘラで練り物をこねる様に弾く。【左:柳川三味線用 右:地歌三味線用】

☆音色は、重厚で、深い味わい。

詳細は11月2日リリース予定CDの、久保田敏子先生の詳しい解説をご覧ください。
林さんのリサイタルは、11月8日京都アルティホールで開催

また10月25日(火)朝8:10〜8:18東京FM「ホンダスマイルミッション」に出演予定です。

(制作担当:うなぎ)