じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

ジョージ・ハリスン、シタール、THE MASTER

先日、映画『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールドを観にいってきました。当初12月2日(金)までと告知されていた上映期間が延長されたそうです。これからご覧になりたい方は公式サイトほかをご参照ください。

3時間半に及ぶ作品ですが、ファンにとっては意外と短く感じられるかもしれず、鑑賞中ジョージのユーモラスな面が披露されると客席からはちょっぴり笑い声も。映画のなかで自分が印象的だったのは、インドのシタール奏者ラヴィ・シャンカールと出会い、シタールを教わっていたときのエピソード。下記引用します。

「自分のルーツを探せ」―ラヴィ・シャンカールのこの言葉にジョージは、はたと考え込む。「僕のルーツ?」「バイクで走ってた時に聞こえてきた "ハート・ブレイク・ホテル"、これだと思った。それからラヴィといたロスを離れ、NYへ行った。」「それ以降、シタールは弾いてない。何千といるインドのシタール奏者には、どう転んでも適わないと思った。」
日本版映画公式サイト内、ABOUT THE MOVIE/PART.2より

このシタール時代を経て、きっと自身のなかで何かをつかんだのだろうなと想像しています。その後ビートルズが解散したあともジョン・レノンポール・マッカートニーにひけをとらない活躍でしたものね。
ラヴィ・シャンカールといえば、ジョージ・ハリスンとの師弟関係や娘が今をときめくノラ・ジョーンズといった話だけでなく、箏とオーケストラの協奏曲のように、自国の楽器シタールでオーケストラと共演する「シタール協奏曲」など、クラシックやジャズでの多彩な共演でも知られる世界的な演奏家。映画を観たあとドイツグラモフォンでの録音をまとめたCD「ラヴィ・シャンカル〜ザ・マスター/Ravi Shankar THE MASTER」が出ていたことを知りました。「The Spirit of India」「Homage to Mahatma Gandhi」「Towards the Rising Sun」からなる3枚組で、「Towards the Rising Sun」に宮下伸(箏)、山本邦山(尺八)が参加(1978年5月東京での録音)。お二人のお名前を拝見しただけでなんとも心が躍り、早速入手することにしました。これは楽しみ。
シャンカールがインドの「THE MASTER」ならば、このお二人も日本の「THE MASTER」。下記のシリーズ「Masters of Japan」でお聴きいただけますのでぜひ。
「日本音楽の巨匠 三十弦 ── 宮下伸/Masters of Japan SANJŪGEN-30 STRINGS KOTO/MIYASHITA SHIN」

「日本音楽の巨匠 都山流尺八/山本邦山(SHM-CD盤)/Masters of Japan SHAKUHACHI/YAMAMOTO HŌZAN」

(じゃぽ音っと編集部T)