じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

新相馬節を聴いて

1月28日(土)午後3時5分からNHK総合で放送された「それ行け!民謡うた祭り」を見ました。

日本各地で公開収録を行い、NHK総合で放送されているこの番組。28日は埼玉県の北東部にある加須市からの放送でした。加須市は市内を日本最大級の河川・利根川が流れ、名物は「鯉のぼり」 と「うどん」。特に鯉のぼりは、全長100メートルの“日本一”の鯉のぼりがあることで有名ですね。

また、現在加須市には、東日本大震災で被災した福島県双葉町の皆さんが避難され生活しています。その双葉町の皆さんを客席に向かえてのステージでした。


双葉町の隣町、浪江町出身の民謡歌手・原田直之さん(コロムビア)が心を込めて唄った「新相馬節」。


ハアー 遥か彼方は 相馬の空かよ
ナンダーコーラヨート(ハア チョーイチョイ)
相馬恋しや なつかしや
ナンダーコーラヨート(ハア チョーイチョイ)


客席では一緒に口ずさむ人、目を閉じて聴き入る人、あふれる涙をぬぐう人。そして、涙をこらえながら熱唱する原田直之さんの姿。感動的でした。それぞれが故郷への熱い想いを新たにした時間でした。


舞台上には、原田直之さんが描いた双葉町の懐かしい風景の絵が何枚も飾られていて、そのやわらかい色合いの絵1枚1枚から故郷の優しさが伝わって来るようでした。そして原田さんの着物には、伝統の「相馬野馬追」の馬が描かれ、同郷の皆さんに向けた「一緒に頑張ろう!」というメッセージが、画面を通してひしひしと伝わって来ました。


この番組を見て「民謡」はものすごい力を持っていると再確認しました。民謡は風景だったり、風だったり、香りだったり・・・一節聴いただけで胸が熱くなって涙を誘うこともあれば、流した涙の後には不思議と希望が沸いてくる。日々の生活に密着した民謡が持つ底力のような強さを感じました。


双葉町の皆さんをはじめ各地で避難生活をされている皆さんが、故郷に戻れる日が1日でも早く来ることを願っています。


(K)