じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

箏と管弦楽演奏「越天楽」のお問い合わせ

昨日週明け早々、下記の内容でお問い合わせを頂いたようです。
「箏とオーケストラで演奏の「越天楽」はありませんか?」
「第十三回日本伝統文化振興財団賞 遠藤千晶(生田流箏曲)」(VZBG-36)の中に『平調「越天楽」による 箏変奏曲』が収録されております。箏:遠藤千晶、指揮:本名徹次東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
こちらのDVDをご紹介させて頂きました。

◎曲説明(解説書より)
『平調「越天楽」による箏変奏曲』 宮城道雄作曲/近衛秀麿・近衛直麿編曲
雅楽曲〈越天楽〉をテーマとしたコンチェルト。1928年雅楽曲を題材にした変奏曲。この年の秋の、天皇陛下即位御大典が行なわれた際の奉祝曲として作曲され、宮城道雄が箏の独奏部を作曲、かつ曲全体のつくりを考慮し、近衛直麿が宮城の注文を聞きながらオーケストラの部分を編曲しました。その後に(1935年頃)、邦楽器によるコンチェルトとしての編曲がなされ、それ以降、邦楽器による演奏の機会の方が多く、オーケストラとのコンチェルトという形で行なわれることはあまりありません・・・・・。
このDVDに収録されています、オーケストラとお箏の演奏はとても貴重な作品と言えるでしょう。
大きなオーケストラの中に華奢な遠藤さんの姿。軽やかに舞う手、指先、そして凛々しさを感じさせ壮大な演奏が・・・。
タイトルにもありますように、こちらのDVDは遠藤千晶さんが第十三回日本伝統文化振興財団賞を受賞され、副賞として制作されました作品です。次代を担う受賞者の優れた技芸を、映像DVDによってより広くご紹介しております。
今年、第十六回となります日本伝統文化振興財団賞の受賞者は・・・?

(japogirl)

※追記!(2012年2月15日)
「越天楽変奏曲」は『宮城道雄合奏曲集成(5枚組)』にも収録されていました。

1987年のレコード全集の復刻盤!
「越天楽変奏曲」
作曲:宮城道雄、編曲:近衛秀麿・近衛直麿、箏独奏:宮城喜代子、指揮:佐藤功太郎、オーケストラ:新星日本交響楽団
[録音]昭和62年東京文化会館ライブ(初CD化音源)

本作については、音楽評論家の片山杜秀さんが推薦していただいた記事を前にも当ブログでご紹介していました。そちらの記事もぜひご覧ください!→ 『宮城道雄 合奏曲集成』(5CD)


ちなみに、「越天楽」をオーケストラで演奏したものとしては、1931年に近衛秀麿さんが管弦楽のために編曲した作品が有名です。また作曲家の松平頼則さんにも、「盤渉調越天楽の主題によるピアノと管弦楽のための主題と変奏」(1951)という名作と、これを独奏ピアノ曲に編曲した「盤渉調越天楽によるピアノのための主題と変奏」(1951)という作品があります。