じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

ヴェルディ『オテロ』

いま新国立劇場ではヴェルディの最後から二番目のオペラ『オテロ』が上演中。明日10日火曜日、13日金曜日と、あと二回あります。特設サイト:音が出ます、ご注意→http://www.atre.jp/12otello/
ヴェルディのオペラ、すべてを観たわけではないのですが、個人的に一番好きなのはこれ→http://www.and.or.tv/operaoperetta/48.htm。超有名アリアはありません。しかし、作品全体が好きです。それにしても、ヴェルディのオペラ最後の二作品『オテロ』『ファルスタッフ』が内包している深さは尋常でなく、好きとか嫌いを超えた不滅の価値を持つ傑作と言ってよいでしょう。

さて『オテロ』。シェイクスピア原作の四大悲劇のひとつ『オセロ』をもとにジュゼッペ・ヴェルディが作曲。台本はアッリーゴ・ボーイト。

【ものがたり】特設サイトより
15世紀末、ヴェネツィアの将軍オテロがトルコ艦隊に勝利し、嵐の中キプロス島に帰還する。カッシオが副官に昇進し、それを妬む旗手のイアーゴは、オテロを破滅させるべく謀略を企む。まずはカッシオを失脚させ、オテロへの取りなしを妻デズデーモナに頼むようカッシオに入れ知恵する。さらにデズデーモナの落としたハンカチを手に入れ、カッシオに持たせる。妻とカッシオの不貞を信じ込んだオテロは嫉妬に狂い、デズデーモナを絞め殺すが、真実を知り自害する。

http://www.atre.jp/12otello/intro/index.html
ハンカチ1枚でひとりの人間を死に追いやれるのか・・というのは進行上のお約束・きっかけとしてまあおいておきまして・・・
オテロ』と無関係ですが「ハンカチ落し」というゲームがありましたよね。私が小学生の頃にはこのゲームが流行った時期もあったように思いますが、今でもあるのでしょうか。ウィキペディアの「ハンカチ落し」のページを見るとハンカチ落しに興じるスイスの子供達の画像が載っていますので、日本だけの遊びではないようです。

ハンカチ落し - Wikipedia
ハンカチ落し(ハンカチおとし)とは、複数の人が野外または野内で行う遊び。鬼とそれ以外に分かれ、鬼以外は円になって座った後、内側を向いて、鬼の動作を見守る。鬼はハンカチを持ってそれらの人々の後ろを走りまわり、そ知らぬ顔で、ハンカチを落とす。鬼がハンカチを落としたら、自分の後ろにハンカチを落とされた人は、鬼が1周して自分の所に戻ってくる前に、鬼を追いかけなければならない。鬼が追いつかれずに、ハンカチを落とされた人のところに座り込めば、鬼の勝ちとなり、鬼が交代する。追いつかれた場合には、再び鬼とならなければならない。また、鬼が一周してくるまでハンカチに気付かず、鬼にタッチされた人は円の中心に座らされて遊びに参加出来なくなるというルールがある場合もある。この場所は「便所」などと呼ばれ、新たに「便所」に入る人が現れるまで出る事が出来ないが、「便所」の人への配慮として、「鬼が5回変わるまで」などの時間制限が設けられる事もある。

新国立劇場で上演された『オテロ』に話は戻りますが、デズデーモナ役のマリーナ・ポプラフスカヤさんは、健康上の理由のため出演できなくなり、マリア・ルイジア・ボルシさんが代わって出演なさいました。2009年にも同劇場の同演出で『オテロ』を観ましたが、その時にデズデーモナを演じたタマール・イヴェーリさんよりも今回のボルシさんのほうがこの役にしっくりと合っていると私は思いました。アリア「柳の歌」は素晴らしかったです。
カーテン・コールでの一番人気は悪役イアーゴのミカエル・ババジャニアンさんで、ご本人の名前ではなく、「イアーゴ!」「イアーゴ!」と皆さんに歓声を浴びていましたから、よほどハマリ役だったのですね。プロフィールには『トスカ』のスカルピアもレパートリーとしているとあるので悪役が得意とみえます。
そして、オテロ役のヴァルテル・フラッカーロさんは声量のある伸びやかな歌唱が真っ直ぐに客席に届いて抜群でした。同劇場で昨年秋の今シーズン開幕公演『イル・トロヴァトーレ』ではマンリーコ役を演じていらっしゃいました。その時にはカバレッタ「見よ、恐ろしい炎を」でフラッカーロさんのハイCを拝聴しました。2011-2012シーズンの開幕公演『イル・トロヴァトーレ』についてもこのブログでご紹介しましたのでご参照下さい→オペラ・シーズンの開幕〜ヴェルディ:イル・トロヴァトーレ - じゃぽブログ

(J)