じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

お盆の季節

東京のお盆は7月、ちょうどこの時期です。先週から近所のスーパーの店先にはお盆用のお菓子やお供えなどが出ていました。
私が育ったところは旧盆だったので、いまだにどうもぴんときません。7月のある日、最近お坊さんをよく電車でみかけるなあと不思議に思ったり(東京のご住職は電車で移動される方も多く)、夕方、家の前で迎え火を焚いているのを珍しく眺めたりしたものでした。最近は迎え火、送り火をするお宅もあまり見かけなくなりましたが・・・。月は違っても、一年に一度、亡くなった方に思いを馳せる大事な行事ですね。私も来月、お墓参りに帰省しようと思っています。
さて、先週から始まった東京[無形文化」祭は、各国に受け継がれる伝統芸能や民俗芸能や年中行事などの「無形文化」を東京から発信するものです。そのなかにも鎮魂の行事がふくまれています。
公演ではこのような64ページもある全公演にわたるプログラムやエッセーを収めた冊子が無料で配布されます。

7月20日の「韓国珍島の死と祝祭」で披露される全羅南道の珍島(チンド)の「シッキムクッ」は、死者の怨念を鎮めて魂を安らかにあの世に送る鎮魂祭儀で、韓国の重要無形文化財に指定されています。
珍島ではお通夜に亡者の霊魂をあの世に送る儀式を行います。様々な芸能が行われ、葬式の場所は人々が泣いたり笑ったりする祝祭の場になるとのこと。今回の公演では、次の日に亡者をあの世に送るところまで、珍島で葬式が行われたときを想定してその場を縮約して再現するそうです。かなりディープな企画ではありますが、韓国の芸能の根源ともいわれる祭儀を目の当たりにする貴重な公演です。→http://mukeibunka.com/stage/stage3/
また、7月22日には福島県いわき市茨城県北茨城市から「じゃんがら念仏踊り」がやってきます。→http://mukeibunka.com/stage/stage5/
これは新盆の供養に招き入れる念仏踊りなのだそうですが、お盆の行事としても広く伝えられています。
韓国から、また昨年被災した福島のいわきと北茨城からやってくる鎮魂の行事ですが、どちらも同時に芸能の側面をもっています。貴重な「無形文化」を東京で目撃するチャンス。ぜひお出かけください。

(Y)