じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

オーケストラ再入門 by 小沼純一


早稲田大学文学学術院教授、小沼純一(こぬまじゅんいち)さんの新しい本が出ました。『オーケストラ再入門』(平凡社新書)です。サブタイトルは「シンフォニーから雅楽ガムランYMOまで」となっており、実に幅広い視点から書かれた本ですね。プロの演奏家もアマチュアのかたも、大勢で音楽を演奏することに興味のあるかたは何か得るところがあるのではないでしょうか。<第三章 さまざまなオーケストラ1>の冒頭、雅楽という「ジャパニーズ・オーケストラ」「世界最古のオーケストラ」〜のあたり、面白かったです。雅楽について、奥が深い音楽なので、これからもっと広まっていってほしい、と書かれています。
<第七章 オーケストラの未来>p.180には「創作と連動したオーケストラの活動がどうなっているのかというのも気になるところです。いま、新しい作品の聴き手が少ないのは事実ですが、だからといって、作曲家に新しい作品の委嘱をしなくてもよいのか、伝統芸能のように、古典中心でいいのか、との疑問もあります。創作能や創作歌舞伎もおこなわれ、それについての肯定や否定、疑問もありますけれども。」 p.209には「…新しく作られた作品とは、この空気、いま、この地球の、聴き手も演奏家も同じように吸って吐いている空気を、同じ社会状況を引き受けています。」とあり、「伝統」について日々思い巡らせている私としましても、いろいろと考えるところがありました。
あとがきに、「オーケストラについて書いてみたい」と思ったものの、なかかな筆が進まず、代わりに『無伴奏』『バッハ〜ゴルトベルク変奏曲〜世界・音楽・メディア』といった二冊の「ひとりで音楽を奏でること」に関する本が書かれた、とあります。そちらも読んでみたくなりました。
無伴奏 小沼 純一(著) - アルテスパブリッシング | 版元ドットコム
http://book.akahoshitakuya.com/b/4622083167

本書に出ていたiPadとオーケストラの共演、そしてポーツマスシンフォニアの映像を探してみました。
Concerto for iPad and Orchestra - YouTube
Portsmouth Sinfonia : "Also sprach Zarathustra" - YouTube


予告:8/8にグランドオープンした淡路人形座を先日訪ねました。訪問記は次回以降で。。
http://awajiningyoza.com/ningyoza/

(J)