じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

未来邦楽へ「全国邦楽合奏フェスティバル」

「文化の国体」と呼ばれる国民文化祭が、今年は徳島県で開かれます。合言葉は「あっ!わぁ 発見伝」。→第27回国民文化祭・とくしま2012
参加企画の一つ 邦楽への招待 和の元気! 未来邦楽へ「全国邦楽合奏フェスティバル」 が、阿南市文化会館「夢ホール」を会場に9月14日(金)から16日(日)まで開催されます。

演奏、展示、ワークショツプ、講演など邦楽に関するさまざまなイベントが用意されています。(写真をクリックすると拡大します)

どれも興味深いですが、このなかでメインとなる演奏会が、アマチュア、プロ、流派、地域を越えて全国の邦楽愛好者が集い演奏を披露する「全国邦楽合奏フェスティバル」(9月16日)です。
「全国邦楽合奏フェスティバル」公式ホームページ
これは「全国邦楽合奏協会誕生公演」と銘打っていますが、2007年の徳島県国民文化祭がきっかけとなり、4年をかけて誕生した全国アマチュア邦楽愛好者の「NPO法人全国邦楽合奏協会」の設立記念演奏会なのです。
ちなみに、国民文化祭は国体と同様、各都道府県が毎年持ち回りで実施することになっていますが、2012年度は手を挙げる自治体が他になかったため、異例ながら2007年度にも実施した徳島県で開催することになったのだそうです。奇しくも再度徳島で開催される国民文化祭で、全国邦楽合奏協会誕生公演が実現したことになります。
NPO法人全国邦楽合奏協会」は徳島市在住の藤本玲さんという方が中心になって立ち上げられました。邦楽の合奏を楽しんでいるグループは全国にあるけれども、その活動や成果が地域や年代を超えて伝えられたり、貴重な経験が他のグループに生かされたりということがない、もっと横のつながりをもとうと、まず邦楽合奏団の有志が集まってネット上で情報交換を呼びかけました。それが基となって、2011年7月、「伝統楽器のすばらしさ・合奏の楽しさを広く国内外に発信する事によって、邦楽の普及と発展、地域文化の振興に寄与すること」を目的にNPO法人として設立されたのです。
現在、同協会の理事長を務める藤本玲さんは、「私は約四半世紀にわたり、学校邦楽指導に力を注ぎ、1998年学校邦楽部活動卒業生の受け皿として徳島邦楽集団を立ち上げました。いつの日か野球やサッカーのように誰でもが邦楽合奏を身近に感じ、日常生活の中に溶け込んだ音楽になる事を夢見て活動しております。」と語っています。(「NPO法人全国邦楽合奏協会」ホームページから)
邦楽の未来を考える一人の強い思いから全国的な会が立ち上がり、このようなフェスティバルが実現するのは、本当に素晴らしいことです。今後の活動にも注目したいと思います。
さらに9月15日にはこの阿南市文化会館「夢ホール」で、全国コンサートツアーを展開中の野坂操壽さんと沢井一恵さんによる響演「変絃自在」があります。当日は10代から20代の青少年のための「ワークショップ」を行い、夜の公演で共演するとのこと。
阿南市徳島市の南、海に面した町です。9月14日〜16日の3日間、邦楽の熱い情熱が集まることになりそうです。

(Y)