じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

平山郁夫美術館に行って来ました。

先日、夏休みを利用して、広島県尾道市瀬戸田町にある「平山郁夫美術館」に行ってきました。

JR三原駅から徒歩で行ける三原港で高速船に乗り、瀬戸田港まで行きました。

瀬戸田港からは徒歩10分程度。静かであたたかい雰囲気のしおまち商店街を抜けて左に曲がった先に、上品な佇まいの「平山郁夫美術館」がありました。

平山郁夫さんは2009年12月に79歳でお亡くなりになられましたが、旧制中学3年生だった昭和20年8月6日、広島市被爆されたそうです。その後遺症に苦しめられ、やがて「仏教伝来」を初めとする平和を願う作品を多く描くことになったとのこと。美術館に入るとすぐに、1959年に発表されたその「仏教伝来」の原寸大陶板画が展示されていました。

平山郁夫さんが生涯にわたって東西の文化交流に関心をよせ、その交流の路である“シルクロード”を描いた作品はとても印象的で、そのスケールの大きな風景やラクダが砂漠を歩く姿など、その作品から聞こえてきそうな音や時の流れのようなものを、いつか見てみたいと思っていました。

そして、現在開催している展覧会が「海のシルクロードと瀬戸内の文化」。展覧会のチラシには、「海のシルクロードとも言うべき交易路をテーマにし、古くから情報・流通のハイウェイとして栄えてきた瀬戸内についても何点もの作品を残しています。」とありました。
瀬戸内の文化を中心に展示された作品は、平山郁夫さんがおっしゃった「私の原点は瀬戸内の風土である」という言葉を思い出させる、あたたかみのあるものばかりで、故郷を愛する想いが存分に表現されたものでした。9月21日まで開催。

他に館内には、平山郁夫さんの少年期の絵日記や絵画も展示されていて、子供とは思えない表現力の高さに驚くと同時に、偉大な日本画家の少年時代の日常生活を知る事で、親近感を持って見学することができました。

美術館を数時間楽しみ感動冷めやらぬまま、また高速船で三原港までもどる途中、おだやかな波の海を見ながら、平山郁夫さんの作品全てに共通する「平和を願う心」に共感し、胸が熱くなりました。東京で開催される展覧会で拝見する作品ももちろん良いと思いますが、今回、平山郁夫さんの故郷である瀬戸内の海と風と空を感じながら、メッセージの詰まったすばらしい作品を見ることが出来たことを、本当にうれしく思っています。またいつか行きたいです。

(K)